EOS Mにはフラッシュが内蔵されていない。ダブルレンズキットには90EXという外付け型のフラッシュが付属しているが、ガイドナンバー「9」と、一眼レフのEOSシリーズに内蔵されたフラッシュ程度の出力だ。加えて、単4形電池×2本で動作するためチャージが遅く、あまり使いやすいフラッシュとは思えなかった。

ところがよく調べてみると、キヤノンのフラッシュ製品を複数使う「ワイヤレス多灯撮影」のマスター(制御する側)となり、多灯撮影が簡単にできることが分かった。今回と次回は90EXを使い、外付けフラッシュをワイヤレスで発光させたり、複数台の外付けフラッシュを用いた撮影を試してみたい。

90EXをEOS Mに装着することで、ワイヤレス多灯撮影が可能になる

まず「ワイヤレス多灯撮影」というのは、フラッシュとカメラ本体を物理的に接続せず、カメラ側の撮影操作とフラッシュを連動(発光)させる撮影方法のことだ。キヤノン製品ではカメラからの指示によって、適切な明るさ(または設定した明るさ)に調整して撮影できる。通信方式として光通信式と電波式があるが、90EXで対応しているのは光通信式のみだ。ここ数年に発売されたEOS用のフラッシュ(キヤノンではスピードライトと呼ぶ)であれば、たいていは光通信式に対応している。

光通信式はフラッシュが連続発光してほかのフラッシュに信号を送り、発光タイミングと調光を指示している。制御する側を「マスター」、信号を受けて発光する側を「スレーブ」という。マスターの機能を持っているフラッシュは意外と少なく、上位クラスの「580EXII」や「600EX RT」、今回取り上げる90EXなどだ。また、カメラ内蔵のフラッシュがワイヤレス多灯撮影のマスターに対応している製品もあり、EOS 7D、EOS 60D、EOS kiss 7i(kiss 5、kiss 6iも対応だがkiss7は未対応)などである。

ミドルレンジ以下のフラッシュ製品、「430EX II」や「320EX」、「270EX」などは、スレーブのみの対応となる。EOS Mの場合、90EXを持っていれば、あとは270EXなどの安価なフラッシュを用意することで、多灯撮影が可能となる。今回は270EXを例に進めていくが、320EXや430EX IIでも基本は同じだ。

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