SNSや動画共有サイトなどのネットサービスの普及にともない、それらを通じたデジタルコンテンツの流通もますます盛んになっている。いまや、ほとんどすべての人が日々なんらかの形で動画やCGなどのコンテンツを楽しんでいる、といっても過言ではないだろう。
コンテンツを楽しむためのデバイスやサービスが整ったことに加えて、デジタルコンテンツの普及を後押ししているのが、作り手側の環境の進化だ。かつて、CG制作やノンリニア編集には最低でも数十万円クラスのマシンが必要で、アマチュアクリエイターや小規模な事業所が、十分な制作環境を整えるのは難しかったが、PCの進化により価格が大幅に下がったことで、いまではプロが使うマシンと同じものを家庭に用意することすら夢ではなくなった。
マウスコンピューターでも、NVIDIAのプロフェッショナル向けグラフィックスカードのQuadroを標準搭載した、クリエイター向けモデルを用意している。クリエイションツールを利用するのに十分な性能を備えながらも、コストパフォーマンスに優れるコンシューマー向けPCの「Luv Machines」シリーズや「MDV ADVANCE」シリーズをベースとしていることから、アマチュアやSOHOでも購入しやすい価格帯に抑えられているのが特徴だ。コンシューマーPCがベースとはいっても、実際にプロのCG制作、CAD業務などでも導入実績があり、品質に不安はない。
今回は同社のクリエイター向けPCの中から、エントリーモデルの「LM-QB300SL6-WS」(販売価格79,800円)について、実機を交えながら紹介しよう。
アマチュアからプロまで、対応の幅が広いラインナップ
BTOオプションによるカスタマイズも含めると、マウスコンピューターのクリエイター向けデスクトップPCにはかなりの選択肢があるが、ポイントとなるのは以下の3点だ。まずベースとなるのが搭載するQuadroのスペックで、エントリークラスのQuadro K600、ミドルクラスのQuadro K2000D、そしてハイエンドのQuadro K4000およびK5000の4種類から選択することが可能だ。
次に、筐体が2種類用意されており、「Luv Machines」シリーズをベースとしたMicroATXサイズと、「MDV ADVANCE」シリーズをベースとしたATXサイズが選択できる。最近のマシンはオンボード機能が充実しており、ストレージドライブ1台あたりの容量も増えているので、MicroATXでも支障のないことが多いが、NASなどを用いず、マシン内でバックアップを取るため、多数のHDDを搭載する必要があったり、ビデオキャプチャーカードや各種インタフェースカードなどを複数追加しなければいけない用途などでは、余裕のあるATXを選択しておくのがいいだろう。なお、Quadro K4000/K5000搭載モデルの筐体はATXのみとなっている。
そして最後にCPUだ。基本的には"Ivy Bridge"世代の4コアCPUがベースとなっており、多くの用途で高いパフォーマンスを発揮できるようになっているが、最終的なプロジェクトの書き出しなど、特に重い処理を行うときには、よりコア数の多いマシンを用いたほうが、納品までの待ち時間をより短縮できる。このため、マウスコンピューターのクリエイターPCには"SandyBridge-E"のコードネームで呼ばれる6コアCPUのCore i7-3930KまたはCore i7-3960X/3970X Extreme Editionも用意されており、CPUパワーの必要なレンダリング/エンコーディング作業を担うマシンとしても活用できるようになっている。なお、6コアCPUもATX筐体のみの対応であるほか、Core i7-3970X Extreme Edition選択時は水冷CPUクーラーの選択が必須だ。
そのほか、最上位モデルとして、8コアCPUのXeon E5を搭載したモデルも用意されている。Xeon E5-2665搭載で279,930円からと、業務用機としては手ごろな価格といえるだろう。