あえてこれまでの作品以前を描くことにした理由には、若い世代にとっての『攻殻機動隊』の入り口になれたらという思いがあると冲方氏は言う。
冲方氏:「『攻殻機動隊ARISE』を入り口にして、過去のシリーズ作品に入ってきてもらうことを意識しています。脚本の依頼は寝耳に水でしたが、自分自身を育ててくれたシリーズでもあるし、恩返しをしなければという思いもあります。下の世代にシリーズをつないでいく仕事は、誰かがやらなきゃいけない。それなら、選んでくださったんだから、全力で応えようと思いましたね
『天地明察』でさまざまな賞を獲得した冲方氏の脚本の巧さについては、今さら語るまでもないだろう。小説以外にもゲームやアニメの脚本を数多く手がけるなど、脚本家としても名を馳せている冲方氏を起用した理由について、石川社長は次のように話す。
石川社長:「(TVシリーズの監督である)神山コンプレックスが強烈だったんです。今回は一人でオリジナルを書ける人じゃないとダメということで、そういう力のある人が冲方さんしか思い浮かばなかった。断られたらどうしようと思っていました(笑)」
そうして脚本とシリーズ構成を引き受けた冲方氏だったが、そんな彼に石川社長が要求した仕事は想像以上に過酷なものだった。
石川社長:「アメリカの60分ドラマに挑戦したいと思っていたんですよ。『攻殻機動隊ARISE』は全4話なんだけど、1話だけでもきちんと話が見えて、さらに4本見てもちゃんと話が通るように作って欲しいと言いました」
つまり、一本ごとに完結するオムニバスでありながら、シリーズとして話の通るストーリーにしてほしいというのだ。これにはさすがの冲方氏も頭を抱えた。そうやって苦悩した結果、完成したのが『攻殻機動隊ARISE』なのである。
最後に番組では、ニコニコ生放送の視聴者にアンケートをとり、本編のカットをいくつか公開した。雨の中で飛び蹴りを放つ素子や、雲間からのぞく夕陽に照らされた若き日のバトー、バトルの末に腕がもげてしまう素子など、ますます内容が気になってくるカットばかりで、視聴者からも大きな反響が寄せられていた。
これまでとまったく違う新たな第4の攻殻『攻殻機動隊ARISE』は、6月22日よりいよいよ公開となる。その後のシリーズ作品については、石川社長曰く「日本には四季がありますから、それに合わせて続編を公開していきたいですね」とのことなので、そう遠くない将来に続編の公開が期待できそうだ。
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会