そして第3位は、1位と同じく「袋ラーメン」の回を締めくくったこの一言。「麺だけに……話のコシも折れちゃいましたね」。
名言も何もただのオヤジギャグなのですが、この一言は『めしばな刑事タチバナ』のなんたるかを象徴する重要なセリフです。袋ラーメンの好みや食べ方という、本当にどうでもいいことについて何十ページも使い熱く議論した挙句に、それまでの熱を冷ますかのようなこの一言!「思わず熱く語ってしまったけど、よく考えてごらん? 話の内容は(いい意味で)どうでもいいことなんだよ」という、まるで照れ隠しのようなダジャレオチこそが、『めしばな刑事タチバナ』が醸し出す、ゆる~い空気感の源なのかなと思うのです。
第4位以降の順位は次のようになっています。
1位:大所帯のサッポロ一番その中でどれが本当の"一番"迷えと言われれば何時間でも迷えるが最近俺がはじき出したファイナルアンサーは……しょうゆ味(1巻/袋入りラーメン)19.3%
2位:"U.F.O.の味"というものは存在しません "U.F.O."は時代ごとに味を変化させるブランドなんですよ(3巻/カップ焼きそば選手権)14.6%
3位:麺だけに……話のコシも折れちゃいましたね(1巻/袋入りラーメン)12.0%
4位:"牛丼一筋"を守る吉野家と定食メニューを揃えた松屋 店舗スタイルを変えたすき屋 その御三家が魏呉蜀の如く覇道を競い合う"牛丼三国志"の始まりだ(2巻/牛丼サミット)9.8%
5位:麺そのものにどれだけスープを持ち上げる力があるか って概念を "麺のスープリフト力"って表現したときはビビりました(9巻/ラーメン・サバイバー)8.8%
6位:マカロニサラダが"サラダ"である根拠はほぼないに等しい(5巻/マカロニサラダ)6.9%
7位:(餃子の王将1号店には)なんと酢がない! 卓に置いてあるのは「餃子タレと醤油のみ」焼き餃子の王道はタレのみと無言でおしつけるこの迫力……1号店恐るべし(2巻/餃子の聖地)6.8%
8位:そもそもカップ焼きそば自体が本物の「焼いた」やきそばに対しての"邪道でしょ"と……(3巻/カップ焼きそば選手権)5.8%
9位:「暴君ハバネロ」ちなみにこの暴君の登場で「カラムーチョ」は俺の中で完璧にノーマルな食べものになったね(8巻/ああ激辛ブーム)5.6%
10位:コロッケそばはスペクタルだからね(5巻/コロッケそば)5.0%
次点:オールド牛丼ファンならその心意気には"食"をもって応える道理がある。だからこれは浮気じゃない。むしろ"義"だ(4巻/焼き牛丼)4.7%
次点:"ほか弁"は あくまで「ほっかほっか亭」のほうの略称とするべきだ 同じ警察でも"警察庁"と"県警"ぐらいライバルなんだよ!(5巻/ほか弁ウォーズ)4.4%
いずれも珠玉の名言ぞろいですが、中にはいくつも「ハッ」とさせられるものがあります。6位の「マカロニサラダが"サラダ"である根拠はほぼないに等しい」や、8位の「そもそもカップ焼きそば自体が本物の「焼いた」やきそばに対しての"邪道でしょ"と……」には、「言われてみれば確かにその通り!」と思わずうなずいてしまいますし、10位の「コロッケそばはスペクタルだからね」に至っては一体何を言っているのかもさっぱりわかりませんが、ともかく「コロッケそば」に対する並々ならぬ愛を感じ取ることはできます。
他のグルメ漫画にありがちな素材や調理法についての描写はほとんどなく、そのB級・C級グルメについての愛とうんちく、情熱とこだわりをとことん熱く描いた『めしばな刑事タチバナ』。ここで紹介した以外にもたくさんの名言・迷言が登場しますので、ぜひあなたにとってのグッとくる一言を探してみてください。
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