クラシカルなデザインのブラックボディに開放F1.8の大口径ズームレンズ、有効約1,200万画素の1/1.7型裏面照射式CMOSセンサー。流行の高級コンデジとしての要素ををしっかりと押さえつつ、このクラスとしては珍しいチルト機構付きモニターを装備するなど、独特の存在感を放つ「PENTAX MX-1」。しかし、その最大の魅力は、センサーサイズを超えた十分に実用域の高画質だ。

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コンパクトカメラに何を求めるか。それによって、MX-1の評価は大きく変わってくるだろう。サイズと重量、画質、機能性、インタフェースを含めた使いやすさ……。もし、あなたが小型軽量であることを重視するなら、MX-1は少々オススメしにくい。1/1.7型センサーにしてはボディが大きいし、軍艦部とカメラ底部に真鍮を使用しているので、見た目以上に重いのだ(SDカードとバッテリーを含む重量は391g)。

サイズは約122.5(幅)×60(高さ)×51.5(厚さ)mm(操作部、突起部を除く)

ただし、このボディサイズのおかげで、高画質に寄与する大口径ズームレンズの搭載や、迅速な撮影操作を補助するボタンやダイヤルの設置が可能になっているという側面もある。また、真鍮の軍艦部は、使い込んでいくことに角の塗装が磨かれていき、地金が露出することでクラシックテイストが増していくという魅力がある。カメラが家電になり、機能や性能が光の速さで陳腐化していく現状にあって、この「長く使うことで魅力や愛着が増す」という仕掛けは面白い。そしてそれは「どうぞ長く可愛がってやってください」という、メーカーからのメッセージにも思えないだろうか。

背面液晶モニターは3型・約92万ドット、ARコートや上下チルト機構付き

クリエイティブ思考に大きく貢献する露出補正ダイヤル

CP+ 2013で展示された(人為的に)エイジングされたMX-1

ボディはレンズ部以外、見事に直線で構成されており、それがまたクラシカルな雰囲気を演出している。だが、単なる"クラカメ"的デザインをデジカメに落とし込んだだけと考えるのはやや早計だ。このボディ形状は、銀塩一眼レフの名作「PENTAX MX」からペンタプリズム部を削ぎ落とした形そのままなのである。ボディに張られたシボ革調のラバーは指掛かりが良く持ちやすいが、これもMXの意匠。名称はもちろん、ロゴ書体までMXのそれをトレースしていることからも、このカメラがMXへのセルフオマージュであることは明白だ。えっ、公式サイトではそんなこと、どこにも書いていないって? ペンタックス・リコーイメージングは、そういう奥ゆかしい会社なんですよ(笑)、分かるでしょ。

上部中央に見えるスイッチは、フラッシュのポップアップスイッチ

レンズやモニター部分の厚みが良く分かるサイドビュー

軍艦部。操作ダイヤルなどの配置は、PENTAX MXのそれをイメージしているようだ
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