ヨーロッパのG-SHOCK市場では、あのモデルが大人気!

―― ヨーロッパのG-SHOCKマーケットについて、お聞かせください。

ブラウナー氏「私はカシオ・イタリアのスタッフなので、特にイタリアのマーケットについてお話しします。イタリアでは、G-SHOCKは若者の間での人気と認知度がたいへん高まっています。

そもそもイタリア人は民族的に時計が好きなのですが(笑)、G-SHOCKには他のメーカーにはない特殊性や独自性がある。イタリア人は、他人より新しいもの、革新的なものを常に求める傾向があります。それにピッタリと合致しているんですね。

具体的には、内部のタフネス構造と外装のデザイン性、そしてストリートカルチャーをリードするバックグラウンド。その融合がイタリアの若者に受けているのだと思います」

ブラウナー氏の左腕にはGW-5600が。ストゥルーマン氏の袖口からはGW-A1000がのぞく

―― 最新のGW-A1100では新型方位センサーが搭載されるなど、機能やデザイン性においてますます広がりを見せるG-SHOCKですが、イタリアで人気のモデルを教えてください。

ブラウナー氏「以前は、G-SHOCKといえばデジタル時計でした。でも、最近はアナログやアナデジモデルの人気も高まってきましたね。現在は、G-SHOCKが多様なラインナップを持つがゆえに、ファッションのコーディネートに合わせて選ぶ方や、タフ性能、タイドグラフなどの機能性を求める方、ご年配で少し高価なものを好まれる方など、多様なニーズに応えることができています。

イタリアでのヒット作といえば、なんといってもGA-100とGA-110のブラックゴールドモデルですね。これは不動のベストセラー。大きなケースとアナログフェイス、目立つカラーリングが大変受けています。」

ストゥルーマン氏「この機種は、イタリアだけでなくヨーロッパ全域でよく売れているんですよ」

ヨーロッパでも人気のGA-100(左)とGA-110(右)。特にブラック×ゴールドモデルは大ヒットとなった

新型の方位センサーが搭載されたスカイコクピットシリーズの最新モデル「GW-A1100」

―― 電波時計機能の付いたG-SHOCKについては、いかがでしょう?

ブラウナー氏「イタリアでは、電波時計の認知度自体がまだ低いのです。電波時計の利便性をエンドユーザーに伝えることが、まず大切です。ユーザーが電波時計は便利だと実感してくれれば、求めるユーザーもどんどん増えていくでしょう。イタリアの電波時計市場は、今はまだ発展途上です。

やはり、ユーザーとの接点を持つことが大切ですよね。若者にアピールするためには、そういうトレンドに敏感な若者がどこに行くのか、集まるのかをきちんと把握する。そして、そこにはG-SHOCKが置かれている。これが非常に重要。エンドユーザーがG-SHOCKに会える場所を、きちんと提供するのが私たちの役目ですから」

―― 日本とは販売チャネルも違ったりするのでしょうか?

ブラウナー氏「店舗のターゲット層によって、扱うモデルを選択するなどしています。例えば、ミラノには『Excelsior(エクセルシオール)』というコンセプト・ファッション・ストアの販売チャネルがあります。

近ごろはG-SHOCKがブランドとして認められてきているので、そういう特殊な流通ともタイアップすることができるようになりました。ただ時計を売るだけではなく、イベントをお互いに企画して実施したり、流行に敏感な若者に対してアピールできるようもなっています」

ストゥルーマン氏「ブランドや流通、アーティストたちとのタイアップやコラボレーションを強化していくという考え方は、イタリアだけでなく欧州としての共通戦略です」

ブラウナー氏「ここ2年間ほどで、ヨーロッパでのG-SHOCKブランドイメージは確実にジャンプアップしました。私は仕事柄、街を行き交う人々が身に付けている腕時計に目が行くのですが、最近はG-SHOCKの新しいモデルをよく見かけるようになりました。これは、我々のマーケティング活動が確実に実を結んでいるという指標だと思います。

認知度が上がってきたから、若者が古いモデルではなく、最新のモデルをしてくれているのです。先端のDJやミュージシャンはもちろん、セレブリティたちも自然にG-SHOCKを選んでくれるようになった点も見逃せません。これらはG-SHOCKがヨーロッパで認められている明確なサインです」

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30周年という絶好の機会に、G-SHOCKをヨーロッパでも大きなトレンドにしたいと意気込むカシオ・ヨーロッパのスタッフたち。Gセッションズをはじめとする「ヨーロッパにおけるG-SHOCKムーブメントの熱量」が日本に逆輸入される日も、そう遠くなさそうだ。