具体的には、データを1/10以下に圧縮し、圧縮したままで検索することで10万枚の画像データを約1秒で検索可能にした。また、データベース中に稀にしか存在しない部分領域がマッチする場合を「信頼性が高い」と判断することにより、高精度を保持することに成功したとのことだった。
「ブラウザ同期技術」は、離れたユーザー同士のブラウザ表示を同期することで「買い物支援」「健康支援」「営業技術支援」などを行うというもの。例えば買い物支援では、遠いスーパーまで行き、重いものを買って帰るということが困難なシニアユーザーでも、テレビ電話でオペレーターと直接会話しながら、欲しいものをネット注文できる。また健康支援では、栄養士の操作支援により健康状態を簡単に相談できる。健康器具と連携しデータを送ることも考えられている。
すでに買い物支援については北海道旭川市・美瑛町エリアで実証実験済み、健康支援については経済産業省産業総合研究所 気仙沼プロジェクト向けに納入済みだという。今後はWebソフトや端末を追加し、プラットフォーム化してサービスを実用化していく方針だ。
ネット上のつぶやきをリアルタイムに収集解析できる「Social Media Visualizer」も紹介された。これはTwitter上の発言を解析し可視化するというもの。現在、法人向けに提供されている。ユニークなのは、KDDI独自のプロファイリング技術により、Twitterユーザーの年齢、性別、職業、住まいの地域などを分析できる点。これにより、調べたいキーワードを入力するだけで「そのキーワードを、どんな人たちがつぶやいているのか」を把握することができる。
もちろん、Twitterのアカウントに登録されているプロフィールからユーザーの年齢、性別、職業、地域などをうかがい知ることはできない。ユーザー別のプロファイリングデータは、過去のつぶやきを解析することで生成されるという。具体的には、特定の単語を含むツイートをどの程度しているか、などで判断されている。KDDI研究所では「市場の声をフィードバックしブランドマネージメントに活用する」「炎上などの危機管理に備える」「イベント効果を測定する」などの活用シーンを想定している。
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最後に、KDDI研究所所長の中島康之氏と、同会長の安田豊氏から挨拶があった。KDDIでは「マルチユース」「マルチネットワーク」「マルチデバイス」の3つの頭文字からなる「3M戦略」を進めている。中島氏は「例えば"マルチネットワーク"ひとつとってみても、まだやることがたくさん残っている。3Mを基軸に、各々のシチュエーションについて様々な提案をしていきたい」と述べた。また、安田氏は「ビッグデータ解析やM to M(マシン間の高度な情報処理)などにより、これからビジネスの形がだいぶ変わっていくかも知れない」とし、KDDI研究所としては「健康、医療、社会インフラ、農業、漁業などにも役立つような技術開発を進めていきたい」と結んだ。