シャープはは5月14日、代表取締役兼副社長執行役員の高橋興三氏が、2013年6月25日付で代表取締役社長に就任すると発表した。現・代表取締役社長の奥田隆司氏は、代表権がない会長に就く。また、片山幹雄取締役会長は取締役を辞任し、フェローに就任することになる。
一方、同社では、2015年度を最終年度とする中期経営計画を発表。2015年度に売上高3兆円、営業利益1,500億円、営業利益率5%、当期純利益800億円を目指すことを明らかにした。
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辞任する奥田社長は「シャープは、2012年度下期の黒字化を必達目標に取り組み、その成果が実を結んだ。また、一連の構造改革費用の計上についても区切りがついたと考えている」とした上で、「中期経営計画についても主要金融機関の理解を得ることができ、追加融資枠の内諾ももらった。これにより、最大の懸案事項であった資金繰りにも目処がつき、経営再建の道筋が立った」と自らの社長在任期間の成果を語る。
社長を退く理由については「62年ぶりの希望退職の実施、給与や賞与の削減など、従業員に対して、痛みを強いていることは事実である。経営者としては、このことを重く重く受け止めている。経営体制を一新し、これまでのシャープと決別し、新生シャープが今日からスタートする。その初日に当たって、退任を決意した」と述べた。
自らの経営については「経営を再建するという点では、社長として最低限の責任を果たしたという達成感がある」とコメント。「今後の経営に対して、ものを言うつもりはない。すべての権限と責任が高橋に集中する体制となった。中期経営計画および2013年度における最終黒字化を全社一丸となって完遂し、新生シャープを一刻も早く作りたい」と新社長の下で再出発する体制を強調した。
高橋次期社長の選任理由については、「事業部の技術部門を皮切りに、営業、海外などを経験し、これからシャープがグローバルに戦う上での素養を兼ね備えている。持ち前の強いリーダーシップと営業センスを磨きながら、再生と成長を図り、必ずや新生シャープを作ってくれると確信している」と語った。
これに対して高橋次期社長は、「4月下旬に呼び出され、『みんなで作ったこの中期経営計画の達成を頼む』と言われた。正直なところ、本当に驚いた」としながらも、「2012年4月に日本に戻り、シャープが置かれている厳しい状況や社員の必死で頑張る姿を見てきた。そうしたなかでの社長就任の打診であり、『これしかない。全力で取り組んでいこう』と考えた」という。その上で、「シャープの経営信条は、誠意と創意。このお客様視点の考え方にいま一度立ち返り、社員一同力をあわせて、この厳しい状況からの再生、成長を果たさなくてはならない」と語った。
また、「私自身、技術、生産、営業、マーケティング、企画といった仕事に携わり、米国、中国も担当した。今こそ、そのすべての力を出す時だ」と自身の経歴を説明し、「次の大きな成長のためには、技術の強みだけでなく、社員全員が前向きなチャレンジ精神を持ち、困難、苦難に立ち向かわなくてはならない。これは、創業者である早川徳次の時代からずっと続いている精神。技術を磨き、次の100年の一里塚にしたい」とした。
さらに、高橋次期社長は「辛くても、『今日(今年度)』と『明日(3年後)』と『明後日(5~10年後)』の仕事を同時にやらなくて将来はない」という自身のポリシーや、「世界のリーディングカンパニーには、すごいスピードがある。シャープもこれからスピードをあげなくてはいけない」「複数の企業がアライアンスを組んで、新たな製品、サービスを作っていくという時代が始まっている。そこでシャープはどんなポジションを取るのかが重要」などと持論を展開した。
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