まず始めに単焦点レンズの「EF50mm F1.8 II」を使ってみた。このレンズは実売価格が10,000円以下と安価ながら、写りがよいと評判のレンズである。重量が130gと軽量なので、EOS Mとのバランスがよく、専用設計されたレンズかのように使いやすかった。レンズ焦点距離/画角は35mmフィルム換算で80mm相当となり、中望遠レンズとして使えるだろう。
ちなみに、暗い場所でEOS Mの撮影モードをシーンインテリジェントオートにすると、シャッター速度を1/60秒、絞り値をF2.8とし、それでもアンダーになる場合はISO感度を上げて対応していた。手ぶれ補正機構のないレンズで撮影する場合、この値はややシビアな設定に思う。最近のデジタルカメラは撮像素子の高画素化でわずかなブレも写ってしまううえ(もちろんEOS Mも)、EOS Mにはビューファインダーがないので、どうしてもブレやすいのだ。今回の試用では思ったほどブレなかったが、注意してカメラを構えてシャッターを切るようにしたい。
EOS M用のレンズ「EF-M22mm F2 STM」では1/30秒、F2.8となり、あとはISO感度を上げて対応していた。これはレンズによって露出を変えるのではなく、単に撮影時のレンズ焦点距離によって最低シャッター速度を決めているようだ。ちなみに手ぶれ補正機構を搭載したレンズでも同じ露出で撮影された。
ピントの合う範囲を確認できるように設定しておくと便利
開放F値がF1.8のような明るいレンズを使っていると、背景をぼかした撮影をしやすい。この場合、現在の設定でどれくらい背景がぼけているかが分かると便利だ。一度撮影して画像を確認してもよいが、設定や構図を変えるたびに撮影と再生(さらに削除)を繰り返すのも面倒だろう。そこでEOS M「絞り込み」機能を使って、撮影しないでフォーカスの合う範囲(被写界深度)を確認できるように設定しておくと便利だ。
一眼レフのEOSシリーズではほとんどの機種に絞り込みボタンが付いているが、EOS Mには絞り込みボタンがない。ただ、カスタム機能で削除ボタンを絞り込みボタンとして設定できる。
設定するにはまず、カスタム機能が有効になるプログラムAE、シャッター速度優先AE、絞り優先AE、マニュアル撮影モードのいずれかに設定する。次にメニューボタンを押し、右から2番目のタブにある「カスタム機能(C.Fn)」を選択。本体背面の電子ダイヤルの右側を何回か押して「消去ボタンの機能」を選び(「消去」はゴミ箱アイコン)、「SET」ボタンを押して設定できる状態にしたあと、「1.絞り込み」を選択して再度「SET」ボタンを押せば設定完了だ。
あとは絞り値を設定したあと、液晶モニタを見ながら電子ダイヤルを下側に(ゴミ箱アイコンのある側に)押せば、押している間だけ撮影時の被写界深度が確認できるようになる。絞り優先モードでこの機能を使うと、フォーカスの合う範囲を絞り値の設定でコントロールできるようになる。