レンズは、焦点距離25mm~500mm相当(35mmフィルム換算)の光学20倍ズーム。制止画撮影時のみではあるが、ソニー独自の「全画素超解像ズーム」を利用すれば40倍ズームも可能だ。20倍ズーム時の画質はよく見ると若干甘いが、SNSへの投稿やL版プリントに使用するならまったく問題ないレベル。それより、アルゴリズムの進化により従来の2倍の補正効果を実現したという光学手ぶれ補正機構「新ピタッとズーム!」の効き具合に感心する。
本体から繰り出される3段のスライド鏡胴はなかなかの迫力で、小さなボディに格納されているのが不思議に感じるほど。完全に余談だが、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」に登場するシュトロハイムの腹部マシンガンを想像してしまった。
ズーム操作にはやや慣性が付くので止めたい画角(焦点距離)で止まってくれないのと、鏡筒移動時のゴロゴロという音が、個人的に気にはなる。だが、それはこのカメラに限ったことではない。ただ、屋外で液晶画面が見にくい点は、今後の改善を期待したい。室内や曇天では特に気にならないのだが、晴天下では構図の確認さえ難しい。それは写欲の低下にも繋がりかねない。
とはいえ、WX300は総合的に非常に良くできたソニーらしさあるれるカメラといえるだろう。高速連写10コマ/秒をメカシャッターで対応することで、高速連写時も被写体の像が歪むことなく表現できるなど、高級機クラスのこだわりの仕様も見受けられる。本文中で「とにかく小さいことを優先する人に最適なフルオートカメラ」的な評を書いたが、決してそれだけではないことを重ねて書き添えておきたい。
広角端(25mm相当)と望遠端(500mm相当)の対比。絞り開放値は広角でF3.5、望遠端でF5.6となる(広角端撮影の原寸大画像、望遠端撮影の原寸大画像) |
ピクチャーエフェクト「パートカラー」(原寸大画像を見る) |