「生贄」と「救済」システムが面白い

アクション面に目を向けてみよう。


バトルや操作面ではモンハンと共通するところも少なくない。左スティックで移動し、右スティックで視点切り替えができるが、視点切り替えは十字キーに割り当てることもでき、PSP時代のモンハンで見られたいわゆる"モンハン持ち"が可能だ。各ボタンで魔法を発動できるが、「×」ボタンは"転がり回避"となり、これもモンハン経験者にはわかりやすい操作方法である。この手の操作はアクションゲームでは比較的よく見られるものなので、とりたててモンハンを意識したとは言えないかもしれないが、いずれにせよ操作しやすいことでアクションの快適性が失われないのはありがたい。

操作感はモンハン等、既存の狩りゲーとそう変わらない

そして、何といってもソルサクの最大の特徴は、戦闘中のさまざまな場面で「生贄」と「救済」を選ぶシステムだ。たとえば敵を倒した場合、瀕死の敵に近づくと「生贄」にするか「救済」するかの選択肢が出る。生贄を選ぶと供物(後述)の使用回数が回復し、魔力レベルが上がって攻撃力が上昇していく。一方、救済を選ぶと体力が回復し、生命レベルが上がって防御力と回復力が上昇する。

生贄か、それとも救済か。選択が運命を決めていく

生贄と救済を選んだことで変化していくステータスは、クエストが終わっても元には戻らない。それどころか、自らの姿形をも変貌させていく。生贄を選び続ければ禍々しい姿になり、救済を続ければ神々しい姿になっていくのだ。戦闘中の行動が自らの歩む道を決めていく点は実にリアルである。

ちなみにこの生贄システムはマルチプレイにおいて他プレーヤーにも適用できる。瀕死になった人に自らの体力を分け与えて蘇生させるか、もしくは生贄にして強大な魔法の代償にしてしまうかを選択できるのだ。友情を壊しそうなシステムに思えるが、死んでからもバトルをサポートできたりするフォローがあるため、むしろ"犠牲になることで仲間を助ける"なんて発想が出てきたりもする。

考えてみれば、瀕死の敵を生贄にできるのに、瀕死の仲間を生贄にできない道理はない。普通なら「ゲームだから、そこはまぁ言わんでくださいよ」なんて感じになあなあで済ませてしまいそうだが、そうやって妥協しているとせっかくのリアリティある世界観が崩れてしまう。「マルチプレイで仲間を生贄にする」という選択が許されるゲームシステムを構築できたことで、本作の完成度はさらに高まったといえる。

リアリティといえば、魔法を使うのに代償を必要とする点も実にリアルである。本作ではクエストに「供物」を6種類まで持ち込むことができ、供物を消費することで魔法を発動することができる。何か大きな力を行使する場合は、それに見合う何かを犠牲にする必要があるというわけだ。今までのゲームではそれを「MP」のような数値で表現していたのだけど、『ソウル・サクリファイス』ではそこをもっと具体的な「供物」という形にしたことでぐっとリアリティが増している。結果的に、本作では6種類の供物に何を選ぶのかが、クエストに臨む上でかなり重要なポイントとなっており、プレーヤー同士における個性や役割分担にもつながっている。

強力な魔法にはそれ相応の代償が必要となる

代償となる供物を持ち込める他、フィールドの自然物を代償として武器を手に入れよう

ストーリーとシステムがうまく融合している

ここまで書いたように、ストーリーとゲームシステム、そのどちらにも優れた点が多いソルサクだが、何より感心したのは、その両方がうまく噛み合っているということだ。たとえば「生贄」と「救済」を選ぶことでステータスが変化していく点は、育成システムとしての面白さがあると同時に、魔法使いとしての人生を歩むストーリーにおいても重要な意味を持ってくる。あるいは、先ほど述べたように、マルチプレイにおいても生贄システムがうまく機能しており、世界観とシステムが無理なく融合している。

世界観やストーリーとゲームシステムがきちんと噛み合うこと。これが、良作を傑作に押し上げる最大のポイントだと思う。

荒削りな部分も……

PS Vitaのキラーソフトとして期待がかけられ、マルチプレイも盛り上がりを見せているソルサクだが、モンハンのようにすでにシリーズを重ねている狩りゲーと比べると荒削りな部分も多い。

たとえば供物の強さがやや偏っていたり、戦闘中の行動によって報酬が変わる評価システムのせいで効率プレイを促進してしまう面があったりといった点だ。また、あくまでも途中までプレイして感じたことだが、敵のボリュームやマップのバリエーションがもう少し欲しいところである。(ユーザーの意見を参考にアップデートで調整し、魔物も無料のダウンロードコンテンツで10体以上、魔法やマップも無料で追加されているため、ボリュームは今後も増えていく模様)

『SOUL SACRIFICE (ソウルサクリファイス)』パッケージ

とはいえ不満点といえば、そうしたボリュームやバランス調整に関するところくらいで、ゲームの根本となるシステムは本当によくできた作品だと思う。新規タイトルで、ここまで完成された作品を作り上げた点は高く評価したい。はたしてソルサクは、モンハンと並ぶ「狩りゲー」の定番になれるのか。今後の展開に期待しつつ、しばらくは本作をじっくりと遊ぶことにしよう。

なお、明日4月27日、28日と2日間にわたって千葉県・幕張メッセで開催される、ニコニコ動画のあらゆるカテゴリを網羅した超巨大フェスイベント「ニコニコ超会議2」には、「プレイステーション」ブースも出展されるが、各日3つのステージイベント(番組)が実施され、進行役のMC、ゲストともに有名な「生主」も多数出演するという。

本作『ソウル・サクリファイス』のイベントは各日ともに15:00から。27日には、FB777、KIKKUN-MK-II、あろまほっと、eoheohの4名によるゲーム実況配信者集団M.S.S Project、28日にはメンバー全員が北海道在住で、ニコニコミュニティレベルが上限である256にゲーム実況で唯一達しており、キヨ、こーすけ、ヒラ、フジの4名による実況カテゴリを代表する人気NO.1チーム最終兵器俺達が登場する。イベントの模様はもちろん「ニコニコ生放送」でも中継される。

(C)2013 Sony Computer Entertainment Inc.

■SOUL SACRIFICE(ソウル・サクリファイス)
ジャンル:アクション
プラットフォーム:PlayStation Vita
発売日:発売中
プレイ人数:1~4人
オンライン:マルチプレイ対応(アドホック、Wi-Fi)
PS Vitaカード版希望小売価格:5,980円(税込)
ダウンロード版販売価格:4,900円(税込)
ダウンロードカード版希望小売価格:5,380円
(※ダウンロードカード版の取扱は、一部の店舗に限ります)