昨今のAndroidスマートフォンでは大画面化が進んでおり、5インチ以上のディスプレイを搭載する端末も多く登場している。また、ただ端末を大きくするだけでは持ちづらくなるため、大画面をいかにコンパクトな筐体に収めるかが重要となり、ディスプレイ周囲のベゼルが狭く設計されいるものが多い。ベゼルが狭くなれば、端末を持った際に意図せず画面に触れてしまうことも多くなりそうだが、現時点ではAndroidの標準機能として、iOSのような指を識別する機能は搭載されていない。

そのため、端末を持つ手の指が画面に触れたまま、もう片方の手で画面を操作しようとすると、誤操作となってしまう可能性がある。なお、富士通製スマートフォンの一部機種に搭載されている「うっかりタッチサポート」など、メーカーのカスタマイズにより似た機能を搭載しているものもあるが、ごく一部に限られる。

もちろん、Androidスマートフォンでも、気をつけて端末を持っていれば問題はなく、慣れている人であれば意識せずに画面に触れないように端末を持てるだろう。しかし、とりわけ初心者などはうっかり画面に触れてしまう可能性があり、その場合、なぜ誤操作になったのかわからずに困ってしまうことがあるかもしれない。端末を持つ指が画面に触れてはいけないということを理解し、身体で覚えればよいという話ではあるが、そこにはいくらかのハードルがあるように感じる。

一方、iPhoneは端末の持ち方に関していえば、初心者でも気をつかうことなく、気軽に触って使えるといえるだろう。本来、端末を持つ指が画面に触れてしまっていれば誤操作となってしまうが、指の識別機能があることで誤操作にはならない。そのため、ユーザーが指の識別機能に気づくことなく、ただスムーズに快適に使えるだけだ。このような機能自体を意識したり、それを快適だと感じることすらないような快適さこそが、iPhoneの魅力であり、より満足度の高いユーザー体験をもたらしているのではないだろうか。

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指の識別機能に着目しながら、iPhone 5の人気の理由について考えてきた。スマートフォンを使いこなすことによって得られる便利さでいえば、現在のiPhoneとAndroidスマートフォンで大差はないだろう。しかし、指の識別機能に代表されるように、便利さを意識することなく快適に使えることがiPhoneの特長だといえる。この快適さこそがiPhoneと他のスマートフォンの違いであり、iPhone 5人気の要因となっているのではないだろうか。