AMDが2012年5月に発表した第2世代Aシリーズ(開発コード:Trinity)。デスクトップ向けには、統合グラフィックスの性能も相まって、マイクロATXやMini-ITXといった小型フォームファクタを中心に順調に人気を集めている。
一方で、日本国内においてモバイル向け「Trinity」を搭載した製品はそれほど多くない。ゲーミングでは一部メーカーでTrinity搭載のノートが販売されているが、一般的なスタンダードノートでも搭載モデルが少なく、少々歯がゆい思いをしていたユーザーもいるのではないだろうか。
ASUSTeK Computerが、2013年1月下旬より販売を開始した13.3型ノートPC「ASUS VivoBook U38N」は、日本国内で展開する「Trinity」搭載モデルの1つ。しかも、低電圧版の「A10-4655M」を搭載している。
2013年3月には最新世代APU(開発コード:Richland)が発表されてしまい、"いまさら感"もあるのだが、「Trinity」と同様に日本国内における「Richland」搭載製品の動向も不明な部分が多いので、ひとまず低電圧版「Trinity」の性能をチェックしておきたい。
まずは、簡単におさらいから。「Trinity」は、第1世代の「Llano」に続く第2世代のAPU。製造プロセスは変わらずにGLOBALFOUNDRIESの32nm SOIだが、CPUコアは第2世代Bulldozerである「Piledriver」に、GPUコアも「Llano」から1世代新しくなり、「Radeon HD 7000系」を採用している。
「Trinity」のアーキテクチャについては、発表時に大原雄介氏による詳細な解説とレビューを行っているので、そちらを参照してほしい。
現在のSKUは以下の通り。
■モバイル版第2世代Aシリーズのラインナップ | ||||||
製品名 | コア数 | 動作クロック/Turbo Core時 | 統合GPU | SP数 | GPUクロック/Turbo Core時 | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|
A10-4600M | 4 | 2.3GHz/3.2GHz | Radeon HD 7660G | 384 | 496MHz/685MHz | 35W |
A8-4500M | 4 | 1.9GHz/2.8GHz | Radeon HD 7640G | 256 | 496MHz/685MHz | 35W |
A6-4400M | 2 | 2.7GHz/3.2GHz | Radeon HD 7520G | 192 | 496MHz/685MHz | 35W |
A4-4300M | 2 | 2.5GHz/3.0GHz | Radeon HD 7420G | 128 | 480MHz/655MHz | 35W |
A10-4655M | 4 | 2.0GHz/2.8GHz | Radeon HD 7620G | 384 | 360MHz/496MHz | 25W |
A8-4555M | 4 | 1.6GHz/2.4GHz | Radeon HD 7600G | 384 | 320MHz/424MHz | 19W |
A6-4455M | 2 | 2.1GHz/2.6GHz | Radeon HD 7500G | 256 | 327MHz/424MHz | 17W |
A4-4355M | 2 | 1.9GHz/2.4GHz | Radeon HD 7400G | 192 | 327MHz/423MHz | 17W |
「A10-4655M」は、4コアのTDP25Wモデルで、統合グラフィックスとしてRadeon HD 7620Gを搭載する。
ベンチマーク環境
ベンチマークテストに利用した「ASUS VivoBook U38N」は、マルチタッチに対応した13.3型のフルHDディスプレイを搭載した薄型ノート。薄さは最薄部で5.5~最厚部で18.6mm、重量は約1.55g。
主な仕様は、CPUがA10-4655M(2.8GHz/4コア)、チップセットがAMD A70M FCH、グラフィックスがAMD Radeon HD 7620G(プロセッサ内蔵)、メモリがPC3-12800 4GB、ストレージが500GB HDD、ディスプレイが13.3型ワイドTFTカラータッチスクリーンIPS液晶(1,920×1,080ドット)。OSはWindows 8 64bit版。
■ASUS VivoBook U38Nの仕様 | |
APU | A10-4655M(2.8GHz/4コア)+Radeon HD 7620G |
---|---|
チップセット | AMD A70M FCH |
メモリ | PC3-12800 4GB |
ストレージ | 500GB HDD |
ディスプレイ | 13.3型ワイドTFTカラータッチスクリーンIPS液晶(1,920×1,080ドット) |
BIOS | U38N.204 |
ドライバ | 015.024.000.000 |
OS | Windows 8 64bit |
Windows エクスペリエンス インデックスを以下に示す。
ゲーム用グラフィックスの数字は6.6と薄さ20mmを切るような薄型ノートに搭載されているグラフィックスとしては優秀で、ローからミドルレンジのディスクリートGPU搭載モデルと同レベルのスコアとなっている。
なお、ここから先のベンチマークテストでは「ASUS VivoBook U38N」と同等の構成を備えたノートPCを用意できなかったため、単体のみの結果を示していく。「Richland」搭載モデルで似たような構成の製品が登場したら、改めて比較テストを実施したい。
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