既報の通り、ソニーとオリンパスの合弁会社で医療機器の開発・販売を行う「ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ」が4月16日、設立された。2012年9月の発表以来、各国で待っていた設立の承認が全て下りたため、16日付で正式に発足した。新会社の社長に就任するソニー業務執行役員SVPの勝本徹氏は「革新的な外科イメージング医療機器を立ち上げながら、社会の貢献をしていき、イノベーションを推進していきたい」とアピールする。
ソニー・オリンパスメディカルソリューションズの勝本徹社長(左)と深谷孝副社長(右) |
ソニー・オリンパスメディカルソリューションズのコーポレートロゴ。ソニーの「S」とオリンパスの「O」を組み合わせた。医療のシンボルとして使われる「アスクレピオスの杖」もモチーフにしているそうだ |
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ソニーとオリンパス、ソニー・オリンパスメディカルソリューションズを設立
オリンパスの経営不振に端を発した今回の合弁会社設立だが、医療関連で事業を拡大したいお互いの思惑が一致し、特に外科内視鏡分野を狙った合弁会社としてソニー・オリンパスメディカルソリューションズが設立された。フルHDの4倍の解像度を持つ4Kや3D、撮像素子や映像の信号処理といった、ソニーのデジタルイメージング技術と、オリンパスの医療機器、光学系、販売網などのノウハウを同社に集結させることで、2020年までに外科医療機器関連の3,300億円規模の市場で、20%以上のシェアを獲得するのが目標だ。
昨今、外科の医療現場ではIT化が進んでおり、モニターを見ながら手術を行う例が増えている。開腹手術を行わずに、患者の体にダメージが少ない方法、例えば内視鏡を使うやり方が主流になってきており、勝本氏は、外科医療機器市場が拡大している、という。
内視鏡は、「手術に特化した特殊な形はしているが、中身はビデオカメラ」と勝本氏は言う。体内の患部を確認し、精密な手術に必要な映像を映すことが使命であり、そのために今回の提携による合弁会社は「意味のあるもの」(勝本氏)という。
この内視鏡分野でオリンパスはノウハウがあるが、より精密な映像を映し、それをモニタに表示するという部分で、ソニーの技術が生きてくるわけだ。
また、最近の手術現場では患部の映像やCT/MRIなどの画像、患者の情報など、さまざまなデータがモニタ上に表示されている。こうした手術に必要な情報が、適切に、リアルタイムにモニタに表示できることも求められてきているという。こうした面では、ソニーが放送局向けに提供してきたスタジオや映画向けの技術が「手術室でも非常に生きてくる」と勝本氏は語る。
まず同社では、この2つの方面から事業を展開。「"見ること"を徹底的に追求した外科イメージング機器の開発」「手術室を"イメージングスタジオ化"するシステムインテグレーション」という事業を立ち上げる計画だ。
内視鏡は、対物レンズが入った光をイメージセンサーがデジタル化し、それを画像処理した上でモニタに表示したり、レコーダーに記録したりして利用される。そこに求められるのは、解像度や色再現性、視野角だ。例えば脊髄のように骨と神経が入り組んでいる個所でも判別できる高い解像度、出血しながらでも血管や神経が見分けられる高い色再現性、そして狭い部位に入り込んでも適切に表示できる広視野角が必要になる。
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