続いて、「Fujitsu Technology and Service Vision」の構成において、テクノロジーとサービスのコンセプトを「富士通のICTバリュー」としてまとめ、同社が中期的に注力するアクションを次の3つに整理・体系化している。
「人が活動する場でのイノベーション実現」では、人々を包み込むICTの力により、社会やビジネスの現場で人々が創造性を発揮し、フィジカルワールドとデジタルワールドを融合させて革新的な価値を創造することを目指すという。
また、「ビジネス・社会を情報装備」では、多様な情報の収集および分析から得られる知見により人の活動を支援し、情報の利活用により商品やビジネスの価値の向上を通じてよりよい社会インフラを構築することを目指す。
さらに、「End-to-Endで全体最適化」では、企業や社会の既存ICT資産を最適化し、イノベーションのための基盤を整備。人や企業、社会をつなげるネットワークワイドに最適化されたコンピューティングとネットワークが融合したICTシステムを構築できるという。
松本執行役員は、「自らの事業を体系立てて示すことで、統合的な価値を高め、富士通の社業が社会にどう貢献するのかといったことも提示することができる」と語る。
具体的な例のひとつとして、位置情報を活用した新たなクラウドサービスである「SPATIOWL」に言及した。SPATIOWLは、富士通が持つ端末、センサー、ネットワーク、クラウドといった要素技術や製品、サービスを組み合わせて提供するものであり、「製品を組み合わせることで、情報そのものの価値を生み出し、新たな商品として提供するものになる」(松本執行役員)などとした。
今後は、Fujitsu Technology and Service Visionの体系化の進展にあわせ、社内体制についても必要に応じて改革をしていくことになるという。
松本執行役員は、「これまでつながらかったものがつながるようになるとともに、情報は人を中心に展開され、人を助けるものになっていく。一方で、スーパーコンピュータ『京』のコンピューティングパワーを利用することで、従来不可能だったことも可能にでき、さらにリアルタイムの情報に基づく判断が可能な世界が訪れる。過去の情報から予測するのではなく、リアルタイムの情報からより的確な将来予測ができる」と語ったほか、「スマートフォンの位置情報をもとに、最寄りの店舗のクーポンを入手するといった例に代表されるなど、現実の社会では、すでにフィジカルワールドとデジタルワールドが融合している。富士通は、フィジカルなモノとデジタルの情報を、人を中心に結びつけて、新たな価値を生み出していく」とした。
また、「閉域的な概念だったコミュニティが、垣根を越えて広がり、それが新たなイノベーションを創出する。情報から知の創造が可能になり、ICTにの力によって、持続可能な社会を実現できるようになる」(松本執行役員)など、先行事例の一部を示した。