富士通は10日、全社ビジョンである「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」に基づいた技術および商品群の新たな体系として、「Fujitsu Technology and Service Vision」を発表した。
富士通が展開している技術、製品をもとに、顧客や社会に向けて実行していくアクションを、「人が活動する場でのイノベーション実現」「ビジネス・社会を情報装備」「End-to-Endで全体最適化」といった3つの領域に整理。それぞれを「人」「情報」「ICT」に対応させ、今後、同体系に基づいて、グローバル市場に向けた商品ポートフォリオを提供していくことになるという。
ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティとは、人々が可能性を最大限に発揮して、イノベーションを生み出し、安心安全に暮らし、情報が新たな価値を生み出し、社会が持続的に成長していく世界を指す概念。
従来のICTは、企業におけるバックオフィスの生産性向上や、ビジネスプロセスの効率化を主眼にしてきたが、近年においては、ビジネス価値の向上や、社会課題の解決への期待が高まっている。こうした潮流の変化を受けて、富士通も、企業システム領域だけでなく、社会基盤領域におけるイノベーションの実現などに力を注ぎはじめている。
「今回の新たな体系は、ICT市場の変化と、富士通ができることを踏まえ、社内外に向けて、成長戦略の方向性を示したものとなる。社内ではこれまでホワイトペーパーと呼んでいたものであり、ICTが踏み込んでいなかったイノベーションの実現に対して、顧客視点の提案になる」(富士通 代表取締役副社長マーケティング部門長の佐相秀幸氏)としたほか、「これを成長戦略の機軸に据え、グローバルに向けた商品を強化していく」(富士通 執行役員 マーケティング部門副部門長の松本端午氏)としている。
また、富士通 執行役員常務マーケティング部門副部門長の川妻庸男氏は、「2012年後半から、モダナイゼーションからイノベーションに向けた投資がユーザー企業の間で進んでおり、2013年度にはその成果が一部に出てくるだろう。新たな情報系システムと、新たな基幹系システムが結びついた世界が訪れることになる」などの見通しを示した。
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