実際の使い勝手だが、タッチパッドでの操作はすこぶる快適だ。ガラス面の触れ心地は常にサラサラで、指を滑らかに移動できる。感覚としては、タブレットやタッチディスプレイを操作しているのに近く、手首を固定したまま腕全体を使って操作すると疲れにくく感じた。
Windows 8を操作するジェスチャーもすばらしい。3本指で上下にスワイプすると、Windows 8のスタート画面とデスクトップ画面を行き来でき、左右なら戻る/進むの動作だ。また、タッチパッドの右端を左にスワイプすればチャームが、左端を右にスワイプすれば、アプリの切り替えが行える。このほかピンチ操作でズームイン/アウト、4本指のスワイプでウィンドウの最大化/最小化、ウィンドウサイズの変更が可能だ。
今回、Windows 7からWindows 8にアップグレードしたノートPC(タッチ非対応)で試してみたが、使い勝手は劇的に向上した。チャームの表示やアプリの切り替え、スタート画面やデスクトップ画面を表示するのに、PCのタッチパッドでいちいち画面の端までポインタを移動していたが、ジェスチャーなら指の一振りですむ。一度体験すると、ジェスチャーの使えない環境は無駄ばかりに思えてしまう。t650でジェスチャーを利用してからは、最小限の動作で操作できるようになり、OSの体感速度も上がって感じられるから不思議だ。
ただ前述のように、マウスボタンが本体の裏面にあり、本体の左下や右下部分を押し込むことで、ボタンが押される仕組みになっている。そのため、膝の上やクッションの上など、不安定な場所や柔らかい場所ではうまくクリックできない点は気になった。ファイルやアイテムをドラッグ&ドロップするときは、机などに置いて操作したほうがよい。
気持ちよく操作するには、SetPointソフトウェアの設定を変更して、カスタマイズすることも必要だ。例えば、右クリックを「2本指タップ」に割り当てたり、スクロールの方向を指の動きに同期させたり(タブレットやスマートフォンと同じになる)できるので、使いやすい設定を追求するとよいだろう。
タッチ対応のデスクトップPCや液晶ディスプレイでもおすすめ
Windows 8を使い始めたものの、ユーザーインタフェースが大きく変わったことに戸惑う人は多い。PCがタッチ対応でないと、なんだか使いにくいという印象を持ってしまいがちだ。t650は、こうした不便さを解消してくれる。Windows 8のUIを存分に利用したいというユーザーに、t650はベストマッチだ。
また、タッチ対応のデスクトップPCや液晶ディスプレイで、Windows 8を利用している人にもおすすめしたい。大画面のデスクトップPCや液晶ディスプレイになるほど、タッチ操作を行うには腕を水平近くまで上げなければならず、疲れやすくなる(画面を見下ろすように設置できる製品もあるが)。t650を利用すれば、画面に腕を伸ばすことなく、手元からWindows 8を操作できて便利だ。その意味では、Windows 8タブレットをスタンドに立てて利用するような場合も、t650があると便利だろう。