総務省は4月1日、携帯電話番号として新たに「070」で始まる番号が2013年11月から利用可能になると発表した。従来の「090」「080」に続く番号で、PHS向けに使われていた番号が、携帯電話でも利用できるようになる。本稿では、この携帯電話に向けた070番号の割り当てが、どのような経緯で行われたのか解説する。
携帯電話番号の経緯
携帯電話やPHSの電話番号は、現在11桁の数字で構成されている。固定電話の市外局番に当たる部分が「0A0」(Aは0以外の数字、最初の0は国内通話を表すプレフィックス)の3桁となっており、携帯電話が090、080、PHSが070を利用。「0A0-xxx-xxxxx」という構造になっている。ちなみに、国際電話が010、ポケットベルが020、IP電話が050、FMCサービスが060で、030と040が使われていない。
この携帯電話番号だが、もともと自動車電話用に030(1979年)、のちに040(85年)を追加して使われており、これが携帯電話でも利用された。PHSが始まった95年には、携帯電話との区別のために050、のちに060(97年)を追加。それと前後して携帯番号が逼迫したため、080と090が追加された(96年)。さらに010が追加されたが、同時に040と090を削除(96年)。続いて020(97年)を追加したのち、040(97年)、090(98年)が復活。この時点で010、020、030、040、080、090という形で増えたが、まだ全体の番号は10桁(国内プレフィックス含む)だった。
これが1999年に携帯電話・PHS番号の11桁化が行われた。「0A0-xx-xxxxx」という番号が、携帯電話は「090-Axx-xxxxx」に、PHSは「070-Axx-xxxxx」となったのだ。「ウサギの耳も11桁」の広告を記憶している人も多いだろう。今ではあまり意味はないが、当時は「A」の部分を見れば、10桁時代の番号が分かるようになっていた。その後2002年には080番号が追加され、これによって現在と同じ番号の仕組みになった。
ちなみに、この電話番号の仕組みは総務省によって定められており、「電気通信番号規則」に従っている。番号は「0A0-CDE-FGHJK」と表記され(「I」は「1」と混同しやすいので使わない)、「CDE」まで見れば、番号が割り当てられたキャリアが分かる(MNPで移転できるため、現在使っているキャリアかどうかは分からない)。
不足する携帯電話番号
さて、携帯電話番号は090/080-Axx-xxxxxの11ケタで、Aの部分には1~9が入るため、090と080で合わせて1億8,000万通りの番号が割り当て可能だ。しかし、携帯電話の普及に加え、機器に内蔵して通信を行うM2M、スマートフォンによる2台持ちなど、携帯電話番号の利用は拡大の一途をたどっている。
2005年3月の時点ですでに割り当て可能番号は6,050万番号まで減少しており、2009年3月にはほぼ半減の3,200万番号にまで減った。2012年3月には残り910万、同年7月には残り350万番号まで減少しており、2014年早々にも消費し尽くされる懸念がある。
そこで持ち上がったのが、PHSに割り当てられた070番号を、携帯電話向けにも開放するというもの。070番号では、070-5~/070-6~で始まる番号しか使われていないため、まだ7,000万番号が割り当て可能な状態であり、これを開放することで、当面の番号枯渇の危険は回避できるというわけだ。
070番号の開放には、まずは電気通信番号規則の改正が必要となる。そのため、総務省が2011年5月、情報通信審議会に諮問、2012年3月には審議会として答申が提出されていた。
これに従って、総務省では2012年12月12日に電気通信番号規則を改正。070番号開放についての制度整備が行われた。これにより、現在のPHSの「070-5」「070-6」で始まる番号は継続し、携帯電話向けには「070-1~4」「070-7~9」でそれぞれ始まる番号が割り当てられるようになった。
従来、070番号はPHSと認識できたが、今後は4桁目の「070-5/6」を見ないと区別がつかないようになる。特にウィルコムのPHS向け音声定額プラン利用者は、この番号をチェックするクセをつけた方がいいだろう。ウィルコムでは、割り当てが開始される11月までに特別な呼び出し音を用意し、「PHSに発信しているかどうか」が分かるようにする計画だ。
番号追加の課題
070番号を携帯電話で利用する場合、制度整備だけではなく携帯キャリアなどのシステム改修も必要となる。
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