「PC設定」が新しいコントロールパネルになる

チャームの動作も各所に改良が加えているようだ。チャームを最初に呼び出すと<Start>ボタンにアニメーションが加わるようになり、Search(検索)チャームには、列挙するアプリケーションの並べ替えを「Name(名前)」「インストール日(Date Installed)」を切り替えることが可能になっている。Share(共有)チャームもSkyDriveとの統合を強化し、画面キャプチャやリンクをそのままSkyDrive経由で共有することが可能。

Windows 8のDevice(デバイス)チャームは、接続済みデバイスしか表示されなかったが、Windows Blueリーク版は「Play」「Print」「Project」と3つのアイコンが並び、ジャンルに応じたデバイスを選択する仕組みが用いられている。チャーム上には<Add another device in PC Settings>というリンクが用意されており、コンピューターに接続済みのデバイスやネットワーク上のデバイスを選択できるようだ。

ちょうどいいので「PC Settings」に目を向けてみよう。画面左側には「Home」「Lock Screen(ロック画面)」「Screen」「Accounts」「SkyDrive」「Privacy(プライバシー)」「Devices(デバイス)」「Network」「Apps」「Ease of Access(簡単操作)」「Time & language」「Update & recovery」「Activate」「Switch To Win8 ver」といった項目が並ぶ。括弧を付けたのはWindows 8にもある項目だ。

大きく変化しているのがサブメニューを導入している点。「Home」は現時点で使用頻度の高い項目にジャンプし、「Lock Screen」はロック画面に関する設定を行うだけだが、「Screen」には「Power & sleep」「Display」「Touch feedback」といったサブ項目が並び、それぞれ名称に見合う設定項目が並んでいる。Windows 8を試用したユーザーはご存じのとおり、一部の設定はコントロールパネルのアプレット経由で実行するなど、モダンUIへの完全移行がなされていなかったが、Windows Blueは「PC設定」の機能を強化し、設定項目の整理に当たっているのだろう。

項目をつらつらと眺めていくと、興味深い項目をいくつか見つけたので紹介しよう。「SkyDrive」下の「Device backups」は文字どおりSkyDriveを保存先として使用するバックアップ機能のようだ。説明によると、コンピューター上のデータファイルやOSの設定を保存するための機能のようだが、SkyDriveで無償使用可能な領域は7ギガバイト(以前からのユーザーは25ギガバイト)とバックアップ先領域としては少々心もとない。実際に運用してみたいの無駄な心配になるかもしれないので、レビュー可能なプレビュー版を入手したときに改めて報告したい。

SkyDriveの統合という面ではサブ項目である「Files」も興味深い。項目内容を確認するとファイル操作を行うWindowsストアアプリを提供する予定らしく、各Windowsストアアプリの標準保存先としてSkyDriveを選択するスイッチも用意されていた。また、撮影した画像や動画をSkyDriveへ自動的にアップロードするカメラロールを搭載。同機能に関する設定は「don't upload(アップロードしない)」「Good Quality(良い品質)」「Best quality(最高の品質)」から選択できる。Windows BlueではiOSが実現しているフォトストリームと同等の機能を備えるようだ。

変更点を列挙すると枚挙に暇がないが、「Switch To Win8 ver」だけは述べておこう。同項目にはスイッチと「Toggle the switch to on and restart PC settings app to switch back to Windows 8 version Modern Settings」という説明があるだけだ。同スイッチを有効にしてコンピューターを再起動すると、「PC settings(PC設定)」の項目がWindows 8風に戻る。このあたりは互換性を意識して用意したと思われるが、製品版まで残されるかは不明だ。

この他にもタブレット型コンピューター上で実行する場合、デスクトップがアクティブな状態でもアプリバーが現れるなど、各種に改善が加わっている。そう、現時点での情報を精査する限り、Windows Blueは既存路線を踏襲しながらも、Windows 8に対して募った不満を解消しつつ、発展されたOSのようだ。もちろんこれが製品版としてリリースされるわけでもなければ、今後の開発で追加される機能や削除される機能が現れるのは、過去の例を見ても明らかだろう。

いずれにせよWindows Blueリーク版は、Microsoftが公式にリリースしたものでなく、6月26日から開催される「Build 2013」でその全貌が明らかになるのは間違いない。あと3カ月間でどのようなWindows OSの姿を見せてくるのか、今から楽しみだ(図02)。

図02 サンフランシスコで開催される「Build 2013」。登録は4月2日(太平洋標準時)からだ

阿久津良和(Cactus