Intelが提唱するわずか101.6mm角の小さなPCフォームファクタ「NUC」。これを採用したメーカー製BTO PCが登場した。サイコムの「Radiant SPX2100NUC」は、NUCのフォームファクタを採用し、それをベースに、購入時に自由にパーツを組み込み、あるいは必要なOS、ソフトウェアを選べる超小型デスクトップPCだ。
超コンパクトデスクトップPC規格「NUC」を採用
NUCをざっくり説明しておくと、本来モバイル向けに製造された低消費電力CPUをベースに、マザーボード等を含めとことんコンパクトにしたデスクトップPCの規格で、正式名称を「Next Unit of Computing」と言う。現在、デスクトップPCはノートブックPCに押され気味で、ゲームPCやPCサーバといったニッチな分野に押し込まれている。そうした市場において、「新しいデスクトップPCとはどんなものか」と、ひとつ提示されたカタチがNUCだ。
このNUCでは、搭載するCPUはモバイル用で、メモリはノートブックPCでもお馴染みのSO-DIMM、ほかUltrabook等で採用されるmSATA(SSDを接続するためのインタフェース)やPCI Express Mini Card(拡張カードスロット)などのスロットを組み合わせている。どれもデスクトップPC向けの規格と比べ、ひとまわりもふたまわりも小さなサイズだ。ここまで凝縮することで、本体デザインは一気に自由度が高まる。
一方で、スペック的に見れば、いわゆる一体型(AIO)PCとほとんど変わらない。つまり、"十分に使える"スペックとなっている。CPUのCore i3-3217Uは、デュアルコアでHyper-Threadingに対応しており、4スレッドの同時実行が可能だ。メモリはDDR3-1333までのサポートとなり、デスクトップPCで用いられるDDR3-1600より若干遅いとしても現行規格が利用できる。それにメモリ容量もRadiant SPX2100NUCとしてBTOで選べるのは8GBまでだが、CPUスペック自体では32GBまでサポートされている。
mSATA規格のSSDも、現状256GBクラスまでは流通しており、480GBクラスの製品もアナウンスされている。ひと昔前なら、通常のSATA SSDに対し、比較的新しい規格のmSATA SSDは割り高感があったものの、mSATA自体がUltrabookはもちろん、通常のノートブックや一部のMini-ITXマザーボード、ATXマザーボードにも採用されるに至り、価格差の解消傾向が見られ、流通量も確実に増えている。
グラフィックス機能はCPUに統合されている機能を用いるが、Core i3ならIntel HD 4000が利用できる。FPSゲームを楽しむには心許ないにせよ、ウェブブラウジングから映像鑑賞、表計算のような用途においては何ら問題なく、そもそも外部GPUを搭載するAIO自体が少数派と考えればこの点でも同等のスペックだ。極小サイズと言っても、AIOと同じ使い方が可能と考えて良い。
CPUは22nmプロセスのIvy Bridge世代CPUであるCore i3-3217U(1.8GHz)。Ultrabook等でよく利用されているTDPが17Wの省電力なCPUだ |
GPUはCPUに統合されているIntel HD 4000を利用する。Core i3でもIntel HD 2500やIntel HDでないところがポイント |
また、もうひとつの特徴として、VESAマウンタ対応が挙げられる。VESAマウンタは、液晶ディスプレイのアーム部の規格で、よくマルチモニタを構築するような際に別売アームに交換するために用いられる。つまり、液晶ディスプレイ裏にPC本体を搭載できるわけで、こうなればAIOとまったく同等だ。その上で液晶ディスプレイを選べるから、IPSパネルにこだわったり、タッチ液晶と組み合わせたりと、様々なニーズを満たしてくれる。大型液晶テレビにも一部にVESA対応の製品があるので、掟破りの大型AIOとしてリビングから家庭内のデジタルデータを楽しむことができる。