将来GPUではMaxwell後継となる「Volta」の存在が明らかに
ファン氏は、こうしたGPU活用事例を示した上で、今後もGPUの性能を引き上げていくとして最新ロードマップを披露した。
GPUでは、現行の"Kepler"(ケプラー:開発コードネーム)に続いて、2104年までに"Maxwell"(マックスウェル)を投入し、さらに次々世代として"Volta"(ヴォルタ)を開発していることを明らかにした。なお、NVIDIAは、GPUの開発コードネームに学者の名前を採用しているが、Maxwellは、古典電磁気学を確立したJames Clerk Maxwell氏から名付けられ、一方のVoltaは世界初の化学電池とされる「ボルタ電池」の生みの親であるAlessandro Volta伯爵から名付けられている。
同氏は、この2つの次世代GPUに関して、詳細は明らかにしなかったものの、MaxwellではCPUとGPUが同じメモリ空間を利用できるようにする統合型仮想メモリ(Unified Virtual Memory)をサポートし、CPUーGPU間でデータをコピーすることなく演算処理を可能にできるため、高速かつ電力効率にすぐれた並列演算処理を実現する。一方、Maxwell後継となるVoltaでは、化学電池の生みの親から名前を与えたように、グラフィックスメモリをGPUに積層するスタックメモリ技術を採用することで、消費電力あたりの性能を大幅に引き上げることを目指す。
一方、モバイル機器向けSoC(System on a Chip)のTegraでは、開発コードネームWayne(ウェイン)として知られるTegra 4の後継として、"Logan"(ローガン)を今年末にもサンプル出荷を開始し、2014年の主力製品とすることを明らかにするとともに、Loganでは現行のGeForceシリーズでも採用されているKeplerベースのGPUを統合し、同社のGPUコンピューティング言語環境であるCUDAも、Tegraシリーズとしては初めてサポートする意向を示した。さらに同氏は、Loganの後継製品として、Intelが現行のCoreプロセッサで採用しているのと同様の3Dトランジスタ技術であるFinFETを採用した"Parker"(パーカー)で、CPUコアに同社が開発している64bit ARMコア"Denver"(デンバー)を採用し、GPUにはMaxwellを統合することも明らかにし、TegraにおいてもGPUコンピューティング機能を積極的に導入していく姿勢を見せている。そこで、同社はTegraを利用したGPUコンピューティング対応アプリケーションの開発環境として、Tegra 3と未発表のKeplerベースのGPUを組み合わせた開発環境"Kayla"(ケイラ)をデベロッパ向けに提供する計画を明らかにするとともに、ARM上でもCUDAが動作するように拡張していくことも明らかにしている。
Loganの彼女として"Kayla"を紹介するジェンスン・ファンCEO。このコードネームも、アメコミ上でLoganの彼女として登場したKayla Silverfoxから名付けられている |
Kaylaの実働デモ。Loganではレイトレーシング処理や、煙の物理演算などもリアルタイムで処理できるようになる |
動画 |
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Kayleの実働デモ。手前左にあるのがTegra 3と未発表のKeplerベースGPUで構成されるKayla。Loganではこの性能がSoCに統合される |