リテールテックJAPAN 2013

まず「iTICE」は、「人財活用支援システム」として同社が訴求している法人向けアプリケーション。組織に所属している構成員の特徴を簡単に把握・管理できるのが特長となっている。データベースには所属や資格、役職、年齢などの基本情報のほか、採用試験や適性試験、研修、ストレス診断、メンタルヘルスチェックの結果などを登録可能。業績の高い社員と似たタイプの人財探しに活用できる「モデル人財検索」や、次期マネージャ候補選抜・海外赴任者選抜などに必要な評価指標を作成できる「評価キャビネット」など、多くの機能を備える。Windowsサーバーで管理するシステムになっており、クライアント側の端末はPC、iOS、Androidなど、マルチプラットフォームに対応している。

人財活用支援システム「iTICE」。個人特性や人財 / 組織分析などはグラフ表示できる。組織診断では、人財のプロファイルを多角形のレーダーチャートで確認可能

本人の評価と上司の評価を比較することも可能。面談などに活用できるだろう

個人のデータを比較したり、組織全体の能力を確認したりといったことが容易になる「iTICE」は、現在、さまざまな業種で利用されているという。例えば、サービス業の店舗経営者が売り上げと人材との関係をチェックして経営に役立てる、あるいは製造業の事業所が「この組織には、こういうタイプの人間が足りない」などの気付きを得て人事異動を行う、といったモデルケースが報告されているとのこと。最近では金融業での導入も増えているようで、担当者は「入社何年目の社員に対して、求められる資格やスキルの水準がはっきりと決まっている金融業ならではのケースです」と説明した。

幅広い端末で利用できるのもiTICEの魅力。ブースでは「タブレット端末を活用した人財マネジメントソリューション」として訴求されていた

ちなみに、iTICEシステムの説明に使用されていたのは、10.1型液晶ディスプレイを搭載するカシオ製の法人向けタブレット「V-T500」。OSはAndroid 4.0で、プロセッサには1.5GHzのデュアルコアCPUを採用している。防滴防塵に対応し、落下強度は1.0m、さらに-20度~50度の温度環境における動作が保証されている。ボディで特徴的なのは、背面に頑丈なベルトを装着できる点。グリップ力が高まるので、片手でも安心して操作できる。内蔵バッテリには、大容量7,000mAhのリチウムポリマー充電池を採用。高い耐久性と長時間使用が可能な同端末を、カシオでは「SMART and TOUGH」のキャッチでアピールしている。

10.1型液晶ディスプレイ搭載の法人向けタブレット「V-T500」。背面のベルトを利用すれば、片手でも安定した操作が可能

V-T500には専用の充電ドックが用意されている。「SMART and TOUGH」のキャッチにふさわしい頑丈なボディが特長だ

そのほかカシオブースでは、Android OS 2.2を搭載した店舗支援端末「VX-100」の展示も行われていた。10.4型のタッチパネルを搭載した製品で、アプリによって機能を拡張できる点が特徴。レジスター機能のほか、顧客管理アプリ・予約管理アプリ・E-mail遠隔操作アプリなどが用意されている。

Android OS 2.2を搭載した店舗支援端末「VX-100」。レジスターとしての機能だけに留まらず、アプリや通信を利用したさまざまな機能を利用できる

ブースでは、割引クーポンを発行する「宣伝ボタン」機能をデモ。半径2km以内にあるスマートフォンに対して、プッシュ通知で情報を発信することができるという。割引クーポンを受信するスマートフォンには、あらかじめ専用アプリをインストールしておく必要がある。担当者は「常連のお客さま向けサービスとして提供できると考えています。半径2kmと言えば、歩いても来られる距離。例えばパンが焼き上がりましたなど、いま伝えたい情報をリアルタイムで配信できるのが特長です」と説明した。初期費用は1~2万円、月額の支払いも数千円台に抑えられるという。導入コストが安いので、小規模店舗での活用も考えられる。

写真やメッセージの添付も行える(写真左)。クーポンを受信すると通知領域に知らせが届く。どの場所の何という店舗から届いたメッセージかを確認することも可能だ(写真右)

また、AR(拡張現実)を利用した新技術が、可視光通信とiOS / Android用アプリ「Picapicamera」の名称で紹介されていた。これは、赤・青・緑などの光が明滅する光源にスマートフォンのカメラをかざすと、そのスマートフォンのディスプレイに任意のメッセージや画像が表示されるというもの(光の明滅で情報を送信)。光源は、電光掲示板、LED照明、看板などはもちろん、PCやスマートフォンのディスプレイからでも発信できる。つまり、光源を明滅させるための特殊な装置を用意する必要がないので、導入コストをかけないで済む。

ARを利用した、可視光通信Picapicamera

利用イメージ。左の女性が手に持っているスマートフォンに表示された光源を、Picapicameraアプリをインストールしたスマートフォンのカメラ機能で捕捉。するとメッセージが表示された

発信したいメッセージや画像は、あらかじめサーバーに登録しておく必要がある。メッセージを受け取る側のスマートフォンは光源からIDとURL情報を受け取り、インターネットにアクセスしてその情報を得る仕組み。別々の情報を発信している複数の光源を、同時に認識することも可能。

カシオではこの技術のメリットとして、可視光を利用した通信なので人体に安全・無害なこと、光を直接目視・確認できるので確実な通信が可能なこと、市販のLEDライトが使用できる高い汎用性と省エネ性、多数の光の中でもメッセージ発信光源を確実にキャッチできること、複数のメッセージ・画像も同時に受信できること、光の見える範囲なら長距離通信も可能なことなどを挙げている。

複数の光源を別々に認識できる(写真左)。Facebookの「いいね」ボタンを表示させるような使い方も可能(写真右)

まだ実証実験の段階ながら、エンターテイメント系のイベントなどですでに導入の問い合わせが来ているとのこと。「QRコードが印刷された広告は街頭でもよく目にしますが、近づかないと読み取れません。でもこの技術を利用すれば、ビルの上など遠い場所に設置されている看板から発信される情報も、地上で読み取れます」と、その利便性をアピールしていた。