冒頭にも書いたように、DMR-BXT3000ではチャンネル録画領域を、1チャンネルあたり約290GBという形で管理している。現行の"全録"レコーダーでは、蓄積する領域を一元管理している。
何が言いたいのかというと、他の"全録"レコーダーでは、蓄積するチャンネルやビットレートなどを変更しようとすると、全チャンネルに影響が及び、それまで蓄積されていたものが全て破棄されることになる。これでは、そう気軽に変更を行えない。それに対してDMR-BXT3000では、変更したい1チャンネル分の蓄積データは失われるが、それ以外のチャンネルには何の影響も与えない。この時期はこのチャンネル、別の時期は違うチャンネルと、限られたチャンネル数を有効に使うことが可能だ。
少々横道にそれる。DMR-BXT3000は通常録画用のチューナーを1基しか搭載していない。そのため、録画したい番組が2本重なった場合には、どちらか片方しか録画できないことになる。ところが、チャンネル録画の設定を気軽に変更できるため、チャンネル録画分のチューナーを1チャンネル分使用して、重複した録画したい番組を放送しているチャンネルを一時的に指定して、複数番組を同時に録画することもできる。ちょっとイレギュラーな使い方ではあるが。
チャンネル録画用のチューナーは、画質を最大に上げても2倍速までという制約はあるし、録画した番組を残しておきたい場合には、通常録画領域かBDメディアなどにムーブしておく必要があるが、不可能ではない。さすがにそこまでやる人はいないだろうが、チャンネル録画分を全て、疑似番組録画用として使用した場合、最大で7チャンネル同時録画が可能になるわけだ。
全録レコーダーとしてのDMR-BXT3000の価値は?
チャンネル録画でBS/110度CSを3チャンネル利用すると、地上デジタル放送用として残されるのは3チャンネル分だ。もちろん、6チャンネル全てを地上波に割り振ることもできるが、DMR-BXT3000の最大のメリットはBS/110度CS放送の蓄積だ。現状でこれが可能な"全録"レコーダーは、DMR-BXT3000のみだからだ。
BS/110度CS放送にチューナーを最大限に割り振った場合、地上波が3チャンネルという構成が、少なすぎると感じる人は、やはりある意味テレビ中毒なのだと思う。ただし、多くの"全録"レコーダーは、テレビ中毒患者に向けた機器だということも忘れてはならない。
例えば、筆者の住んでいる神奈川県で受信できる地上波デジタル放送は、10局だ。首都圏ではだいたいこんなものだろう。結局のところ、全ての放送局を蓄積しようとしたら、地上波に6チューナーを割り振っても足りないことになる。BS放送も同じぐらいの局数を受信できる。そういう方向から見ると、DMR-BXT3000は、1人のユーザーが複数台をスタックして使用するのに向いたレコーダーなのかも知れない。DMR-BXT3000が3台あれば、首都圏でも、地上波とBS放送の無料チャンネルほぼ全てを録画することが可能だ。
一方、地上波が民放が3局とNHKのみという地域は、現在も存在している。筆者が子どもの頃に住んでいた地域では、当時、民放はVHFが1局、UHFが1局しかなかった。その頃に比べれば、現在は受信できる放送局が増えたといえるが、それでも地域によっては、地上波6チューナーを持て余してしまうケースも現実としてある。チャンネル録画用のチューナーを地上デジタル放送用だけとせずに、BS/110度CSチューナーも搭載した点は、そういった地域では、単純に大きなメリットになるはずだ。