KDDIは2月19日、HDDレコーダーに接続して、放送中のテレビ番組や録画番組をスマートフォンやタブレットなどに配信する「Remote TV」を23日から発売すると発表した。映像をアナログ入力から配信することで、LAN環境だけでなく、外出先の携帯回線からも視聴ができるようにした。同時に、テレビのHDMI端子に接続してテレビをスマートTV化する「Smart TV Stick」も23日から発売する。
外出先でも自由にテレビが観られる「Remote TV」
Remote TVは、手のひらサイズのコンパクトな立方体の端末。家庭のHDDレコーダーに接続するだけで、録画した番組や放送中のテレビ番組を、専用アプリを通じてスマートフォンやタブレットなどで視聴することができる。
無線LAN(IEEE802.11b/g/n・2.4GHz帯)、HDMI入出力端子各1、microUSB端子、アナログAV端子を備えており、HDDレコーダーとHDMI経由で接続し、さらにその信号をHDMIでテレビに出力する形で接続。映像出力用にレコーダーのアナログAV端子とRemote TVを接続し、家庭の無線LANに接続すれば準備完了となる。
Google Playから専用のAndroidアプリまたは同社サイトからWindows・Mac用のソフトウェアをインストールすると、スマートフォンやタブレット、PCなどからRemote TVにアクセスできるようになる。Remote TVの機器IDをKDDIの認証サーバーに登録し、パスワードを設定すれば、アプリからアクセスできるようになる。
Remote TVにはチューナーも入っておらず、アナログ出力された映像をアプリに配信しているため、デジタル放送のDRMなどはない。Remote TVから配信される映像データは(無線LANの暗号化とは別に)暗号化がされているが、DRMは特にかけられていない。その代わり、Remote TVに同時接続できる端末は1台だけとなり、アプリがRemote TVに接続する際に認証が行われ、あとから接続した端末が割り込む形になる。その為、それまで利用していた端末は視聴できなくなる。
アナログ出力・HDMI出力を備えたレコーダーであれば基本的には対応できるほか、KDDI独自の機能を利用しないため、他社の携帯電話利用者でも購入・利用が可能。ただし、動作確認については同社製のAndroidスマートフォンのみで行われているので、保証はされていない。また、iOS向けにも提供を予定しているが、まずは無線LAN環境でのみの利用になる、という。無線LAN環境では最大で854×480ドットでの映像配信ができるほか、通信環境に応じて4段階の画質が自動的に選択され、3G回線でも視聴が可能になる。
同社商品統括本部サービス企画本部マルチアクセス&サービス企画部ホームネットサービスGグループリーダーの庵原武彦氏は、「テレビのもう1つの楽しみ方」を提供したいと話し、単にauユーザーのためのサービスとしてではなく、「スマートフォンユーザーが便利に使える」という観点でRemote TVを企画したとしている。そのため、同社のスマートパスポート構想の中心となるau IDを持っていなくても購入・利用ができる。同社の商品統括本部サービス企画本部本部長の小林昌宏氏は、大画面化・高解像度化でワンセグの画質が課題になっていることから、「ユーザーが本当に見たいものは何か」と指摘。従来のワンセグよりも高画質で、より手軽にテレビが視聴できる点をアピールする。