正統派あり、ネタあり - 「ニコニコミュージックマスター」はニコ動らしさあふれる音楽ライブイベントだった

ドラえもんのしずかちゃんやジャイアン、さらにサザエさんのアナゴさん、タラちゃんなど、数多くの声マネレパートリーを持つ芸達者なユーザー。歌い手というよりもユーザー生放送で頭角を現した人気者だ。この日は得意の声マネを駆使してボカロ曲「十面相」を熱唱。レパートリーの多くが誰もが知る人気アニメのキャラクターや有名人なだけに、会場も大いに盛り上がっていた。

正統派とは違ったスタイルで観客を沸かせたのが雄大。普段はオペラ歌手ということで、名前の通り雄大な歌声に定評がある。後述するバイオリニスト・emyu:とのコラボレーションも見事なステージだった。改めてニコ動ユーザーの幅の広さに驚かされた。

また……動画を紹介するのは差し控えるが(肌色成分が多いので)、動画エントリーからの出演を果たしたけーぽんもニコ動らしさあふれる出演者だ。詳細を知りたい方はミュージックマスターのタイムシフト放送か、彼の動画をご覧いただきたい。

「演奏してみた」にも注目していこう。

今回もっとも会場を沸かせたのはこの人ではないだろうか。emyu:は昨年の夏ごろから動画投稿を開始したバイオリニストで、高い演奏技術はもちろん、はじけるような笑顔と踊りながら楽しそうに演奏する姿で多くのファンを獲得している。ミュージックマスターでも期待に応えて「如月アテンション」を演奏し観客を魅了した。筆者を含め、ミュージックマスターで彼女のファンになったという人は多いのではないだろうか。

2011年秋にニコ動ではあまり見ない鍵盤ハーモニカで「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」を演奏し、鮮烈なデビューを飾ったhortanも今回注目していた演奏者の一人。サックスで出演したムター、キーボードのぼい@2段階右折の人との異色コラボメドレーは、ニコ動における「演奏してみた」の魅力を存分に体現していた。

約35名の出演者、3時間半にも及んだニコニコミュージックマスターだが、ニコ動ユーザーであればまったく飽きることなく楽しめるライブイベントであった。何よりもこれまでの公式ライブイベントに出演していなかった新鋭が多数出演していたのに感心した。ユーザーの新陳代謝がないコミュニティは衰退していくものだが、開設から6年を迎えるニコ動にはまだそれが見られない。以前のようにニコ動が一体となって盛り上がるようなムーブメントは起こりにくくなっていると感じるが、音楽系コンテンツの作品発表の場としてはしっかり機能しているということだろう。

ダンスマスターと同様、ミュージックマスターも息の長いイベントになってほしいところだ。