ポテンシャルは高いが、SIMロックフリーであるところが気になるか

標準価格は79,800円。ショップによっては7万円台前半から販売しているところもあるようだ。ほかにないタイプの端末であることから、同列に比較できる対象がないとはいえ、昨今のスマートフォンの一括価格が7~8万円以上することを考えると、さらにタブレットとしても使える分お得といえるかもしれない。

しかし、前項で触れた通り、SIMロックフリー端末であるという部分がやはり最大のネックでもある。日本でも端末のSIMフリー化が進んできたものの、キャリアによって温度差があるだけでなく、SIMロック解除に有料の手続きが必要であるなど、全体的に及び腰。

そのためか、一般ユーザーにSIMロック解除・SIMロックフリーという言葉の存在自体が十分に浸透しているとは言い難い。そこに斬り込むASUSの気概は素晴らしいにしても、現状は、どうすれば「PadFone 2」を電話機として使えるようになるのか、正確に知っているユーザーは多くないだろう。

SIMフリーによる利点ももちろんある。使い方や契約内容によっては月々の料金を低く抑えられることもあるし、たとえば海外出張が多い人であれば、国内端末を海外で使うための手続きや料金体系、機能制限などに悩まされず、現地のSIMをそのまますぐに使えるのもメリットになりそうだ。

「PadFone 2」自体も、外出時はスマートフォンとして利用し、自宅に帰ってからは大画面でのゲームプレイや、家族に使ってもらう、といった用途で便利に使い回すことができる。スマートフォンとは別にWi-Fiタブレットを購入するくらいであれば、「PadFone 2」を選んだ方が、データの同期や操作性の統一という面でも格段にメリットは大きいはず。

個人的には、Android 4.2にバージョンアップして、マルチユーザーモードで使えるようになると、家族間での利用がさらに便利になるのではないかと思っているが。

スマートフォンやタブレットとしてのポテンシャルは高いだけに、SIMロックフリー版しか発売されないのは少しもったいない気がしつつも、日本市場のSIMロック周辺事情に変化をもたらす試金石となるかどうかも含め、売れ行きが気になる端末だ。

■本体側の主な仕様
プロセッサ Qualcomm Snapdragon S4 ProクアッドコアCPU
メモリ 2GB
ストレージ eMMC 64GB
グラフィックス Adreno 320(プロセッサ内蔵)
ディスプレイ 4.7型Super IPS+液晶(1,280×720ドット)
ネットワーク IEEE802.11a/b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0、3G
インタフェース マイクロSIMスロット、ドッキングポート、オーディオポート
センサ 加速度、コンパス、ジャイロ、近接、光
Webカメラ フロント120万画素、背面1,300万画素
サイズ/重量 W68.9×D137mm×H9mm/約135g
バッテリ容量 2,140mAh
OS Android 4.1.1(Jelly Bean)
■PadFone Station側の主な仕様
ディスプレイ 10.1型IPS液晶(1,280×800ドット)
インタフェース ドッキングポート
Webカメラ フロント100万画素
サイズ/重量 W263×D180.8mm×H10.4mm/約514g
バッテリ容量 5,000mAh
OS Android 4.1.1(Jelly Bean)