今回の製品における重要なポイントは、同社独自の感性指標化技術をベースにしたあかりを提案している点だ。
感性指標化技術は、明かりシーンごとの心理状態を、アンケートによって導き出す主観的なデータの解析と、脳波を測定して明かりシーンごとの脳の状態を科学的に解析する生理解析による客観的データを組み合わせることで、それを定量データとして分析したパナソニック独自のもの。
生理解析では、アイマスクをした被験者に、3分間の安静状態を作ってもらい、その後に照明を体験してもらい脳波の変化を測定した。
感性情報学を研究している関西学院大学理工学部工学博士の長田典子教授は、「感性情報学においては、もっと豊かで、楽しい生活を送るために、感性に訴えた商品をどう作るかといった研究を行っている」とし、「今回のパナソニックの取り組みは、生理解析を心理解析により裏付ける内容となっている。こうした成果を、身の回りの製品に応用するのは初めてのことであり、意義があることだ」と評価する。
同社の調べによると、昼光色にくらべて色温度をあげた「すっきりのあかり」では、気持ちがリフレッシュするとの評価が高く、さらに「くつろぎのあかり」でも、くつろいだ気分になるという評価が、電球色を上回る結果となった。
パナソニックによると、家庭内の消費電力量のうち14%を占める冷蔵庫に続いて、13%と2番目に多い照明は、省エネ性能が注目されている。
そうしたなか、高い省エネ性能を実現するとともに、調光や調色といった特有の機能を持つLEDシーリングライトに対する関心は高まっており、パナソニックのLEDシーリングライトの販売台数は、前年比2倍という成長を遂げている。
パナソニック コンシューマーマーケティングジャパン本部・原昭一郎本部長は、「国内居室用照明器具の総需要は約1億7,000万台あるが、そのうち、LEDは約3%に過ぎない。しかし、普及にはますます勢いがついている。パナソニックは、水質、空質といった見方とともに、あかりの質も追求していく。照明ソフト技術とLED制御技術を組み合わせながら、明るさを提供するだけでなく、感性という視点からも訴求していく」と、同社のライティング事業における姿勢を示した。
同社では、2013年に15機種を投入することで、前年比30%増の年間200万台の出荷を目指す。