スペックはタブレットとしては十分。PCとしてはどうか

スペック面での最大のポイントは、2012年秋に発表されたインテルの低電力CPU「Intel Atom Z2760」が搭載されている点だ。「Clover Trail」というコードネームで開発されたこのCPUには、2つのコアとGPU「PowerVR SGX 545」に加え、動画再生機能やメモリコントローラなどさまざまな機能が搭載されている。システムの主要機能をCPU単体に収める「SoC(System on a Chip)」と呼ばれるものだ。

CPU情報の詳細を調査するフリーソフト「CPU-Z」での、Atom Z2760の情報

動作周波数は1.8GHzと、数字だけ見れば高くはないが、ハイパースレッディング対応により4スレッド処理が可能。それでありながら、消費電力の指針であるTDPが1.7Wと抜群に低いのが魅力である。ちなみに、Ivy Bridge世代のモバイルPC向けCPUで、もっともTDPが低いのはIntel Core i3-3229Y(1.4GHz)の13Wだ。Atom Z2760の消費電力がいかに低いか分かるだろう。

また、Atom Z2760はx86系アーキテクチャだ。やや語弊はあるが、OS上の互換性は別として、既存のWindowsアプリがそのまま動くので、従来のソフトウェア資産をそのまま活かせる。Windows RT機やAndroidタブレットなどで採用されているARM系CPUでは互換性がないだけに、このメリットは大きい。

ただし弱点もある。Atom Z2760は32ビットのプロセッサであるため(64ビットには対応しない)、利用可能なWindows8も32ビット版だ。よって、32ビット版のWindowsで認識できるメモリ容量が実質3GB強という制限を受ける。HP ENVY x2のメモリ容量は2GBであり、PCとしては正直なところ少々心もとない。

ENVY x2のシステムドライブの利用状況。空き容量は34.8GBしかなかった

ストレージは64GBのeMMC SSDだが、容量の一部がシステムやリカバリ用に使われているため、実質的に使える容量は34GB程度だった。Windows 8のアップデートやアプリのインストールを考えると、34GBではまず足りない。少なくともユーザーデータは、USBメモリや外付け型HDD、本体のメディアスロットで使えるSD/SDHC/SDXCカードなどの補助ストレージ、またはクラウドストレージに保存して、うまくやりくりしたいものだ。

インタフェース類としては、USB 2.0×2が用意されているが、残念ながらUSB 3.0端子は持っていない。映像出力用にはHDMI端子を用意しており、以上はキーボードドッグ側に搭載されている。

メモリカードスロットは、タブレット側にmicroSDカードスロット、キーボードドッグ側に2in1メディアスロット(SD/SDHC/SDXC/MMC対応)が用意されている。通信機能はIEEE802.11a/b/g/nとBluetooth 4.0、Webカメラはインカメラが200万画素、アウトカメラが800万画素の構成だ。

前面(写真左)と背面(写真右)。インタフェース類はなにもないすっきりしたデザインだ

左側面には、左から2in1メディアスロット、USB2.0、ACコネクタが配置されている(写真左)。右側面はHDMI端子、USB 2.0、オーディオ端子の構成(写真右)

付属のACアダプタは比較的コンパクトで、重量も実測値で268gと軽め。本体と一緒に持ち歩いても、重さは気にならないだろう。HP ENVY x2はタブレットとキーボードドッグの両方にバッテリが内蔵されているので、それぞれ個別に充電することが可能だ。

コンパクトで持ち歩きに便利な付属のACアダプタ(写真左)。ACコネクタはタブレットとキーボードドッグそれぞれに用意されており、個別に充電が可能

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