――ではゾロリについては……?
ゾロリはもう全面的に大好きです。僕はビビりな方なので彼ほどの勇気はないんですけど(笑)。ゾロリはふざけた事をしたり悪だくみもしますけれど、何か困った事があった時はちゃんと解決策を見つけて進んでいきますからね。僕はいつまでも引きずって、あの時こうしておけばよかった、って一人でグジグジ言っている事も多いんですけど、ゾロリみたいに辛い事があってもすぐに切り替えて"つぎいってみよう!"って考えられるのは素晴らしいと思いますね。
――原作・アニメともにゾロリが長い間愛されている理由はどこにあると思いますか?
とことん面白く、一見するとくだらなく見える物語の中で大切なメッセージを伝えていること、そして原先生の原作が本当に隅から隅までアイデアに溢れているからだと思います。児童書の中でも手に取りやすく、最後まで楽しんで一気に読めるようになっているのは、原先生のサービス精神があってこそですね。先生は子どもたちの気持ちを本当によく分かってらっしゃるし、アニメスタッフもその気持ちを理解してアニメとして最大限表現しているからこそ、愛されているんだと思います。
――その原先生についての印象についても聞かせてください
"とにかく一冊読んだ達成感を子どもたちに味わって欲しい"という事を先生はいつもおっしゃっているんですけど、その気持ちが素晴らしいですよね。実は僕も本が苦手な子どもだったんですよ。漫画以外の本を全然読まない子で、未だにちょっとコンプレックスなんです。よく本を読む方は色んな知識を持っていますし、ボキャブラリーが豊富だったり、表現が豊かだなって思う人達の中には本が大好きという方がやっぱり多いんですよね。
――では最後に本作に込められた子供たちへのメッセージと長く愛されてきた本シリーズの魅力をお聞かせください
小さい頃に本を読むっていうのは本当に大事な事だと思うんです。小さい頃から読めばそれが習慣づいて苦にならないし、楽しんで読む事を覚えられますから。そのきっかけがゾロリなら最高ですよ! "俺今月ゾロリ5冊読んだ! 別の本も読んでみようかな"って、ゾロリをきっかけに本に対するコンプレックスがなくなりますよね。僕もゾロリは全巻持っているので! こんなに同じシリーズの本が揃っているのは僕の生涯で初ですね(笑)
原先生が子どもたちの事を思って書いてらっしゃるからこそ、物語に込められたメッセージを子供たちもちゃんと読み取って、みんなの心に響くんじゃないですかね。それにパロディもたくさん散りばめられているから、基のネタを知っているとより笑えるし、その時は知らなくても後から知ってまた楽しむ事もできますよね。
映画『映画かいけつゾロリ だ・だ・だ・だいぼうけん!』は現在全国公開中。
(c)2012 原ゆたか/ポプラ社,映画かいけつゾロリ製作委員会