次に、J4210Nの印刷速度を簡単に計測してみた。まずはA4文書のコピー速度から。本体のウォームアップを終わらせた状態でA4文書のコピーを行ったところ、カラーコピーで27秒、モノクロコピーで14秒という結果に。画質は「標準」で固定されたままだが、インクのかすれやザラつきもなく美しい仕上がりとなった。特に印刷が速いというわけではないが、多く文書をコピーする場合でもストレスを感じる場面は少ないと思われる。
続いて、メモリカードからのダイレクトプリントの速度だ。SDHCカード(class10)から画像を読み込み、L判の光沢用紙に印刷したところ、画質が「標準」で21秒、「きれい」で71秒という結果となった。「標準」と「きれい」では3倍以上の差があるが、目を凝らしてみなければ印刷クオリティの違いは分からない。特に問題なければ、「標準」画質でも十分だろう。
PCから写真印刷を行った場合のプリント速度も検証した。ダイレクトプリントのテストで使用したものと同じ画像を、付属の画像編集ソフト「Presto! ImageFolio」からL判印刷したところ、画質が「標準」で17秒、「高画質」で50秒という結果となった。J4210Nが紙送りを始めてから排紙までの時間だが、なかなか高速だ。
同じ画像をインクジェット用官製はがきで印刷した場合、画質が「普通」で31秒、「高画質」で52秒だった。プリンタドライバで用紙種類をハガキサイズの光沢紙に設定して再度印刷したところ、「普通」で36秒、「高画質」で57秒と、インクジェット用官製はがきよりも若干遅くなった。
機能はしっかり、予算は安くしたい人に
J4210NにはFAX機能が搭載されていないため、全部入りのフルスペック複合機というわけではない。だが最近はFAXを利用する機会も減っているため、家庭用としてはプリンタ、コピー、スキャナの構成で十分だろう。ADFは持たないため、複数枚原稿のコピー/スキャンは少々手間だが、例えば"自炊"のようなニーズがあるなら、ドキュメントスキャナやADF搭載の複合機を選んだほうがよい。J4210Nは個人でガリガリ使い込むよりも、家族全員で手軽に使うのに向いているだろう。
これは試用機に限った話かもしれないが、本体カバーや用紙カセットを出し入れする際の"遊び"が大きいように感じた。個人的には、もっとキッチリとスムーズに出し入れできたほうが好みだ。
とはいえ、ハイエンドモデルが2万円台前半で購入できるのは、やはり買い得感が高い。なによりA3プリントが必要な人には、有力候補の1つとなるだろう。必要な機能はしっかり押さえて、予算はできるだけ安くしたいという人におすすめのモデルだ。
続いて、"ほぼ全部入り"ながら低価格の「PRIVIO DCP-J940N」を見ていこう。
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