―― 都市コードも非常に見やすくなりましたね。
冨吉氏「OCW-S2400は、ダイヤルフェイスを広くして、時計としての視認性を向上させています。ワールドタイムもより見やすくするために、リングは2層構造にして、都市コードを上下に振り分けることで判読性を向上させています。OCW-S1400と並べると、フェイスがぐっと広くなっていることがお分かりいただけるでしょう」
―― リングのブルーもずいぶん鮮やかになっていますね。
冨吉氏「この鮮やかなブルーも、OCW-S2400でぜひ見ていただきたいところです。OCW-S1400やOCW-S2000のブルーは、光の加減でとても青く見えるときもあれば、ちょっと緑がかって見える部分があります。オシアナスはブルーをブランドカラーにしているので、ブルーにこだわり、もっと鮮やかな色を出したいと考えていました。そうすることで、お客様の選択の幅も広がりますから」
冨吉氏「この色は、カシオでは初採用のスパッタリングという技術を使って着色しています。金属の膜を飛ばして直線的に色を付ける技術なのですが、思った色を出すのが難しくて、とにかく苦労しました。
従来のIP(Ion Plating)は全体的に色を付けやすいのですが、スパッタリングでは直線的に色を吹き付けるので、斜面に対して吹き付け量が変化して、色が変わってしまうことがあるんです。そこを調整しなければなりません。
しかも、スパッタリングでブルーを着色した金属プレートは、そのままだとグリーンなんですが、プレートをリングに加工するとこの色(編注:OCW-S2400のブルー)になるんです。ですから、プレートの状態で最終的な仕上がりを予想して、判断しなければなりません。これには経験の積み重ねが必要でした。
約1カ月間、ほぼ毎日、協業メーカーさんのところに通って、何回も何回も色を出して、徹底的にこだわって作りました。ケース表面の研磨などもそうですが、時計は材質の特徴や加工の仕方が分からないと、デザインできない部分が多い。技術の人たちとの綿密な打ち合わせが欠かせないんです」
―― 文字板の黒も、より黒くなっているように見えます。
冨吉氏「文字板の黒の濃度は、ソーラー受光のパワーに比例しています。したがって、技術の進化にともなって、文字板の黒はどんどん濃くなってきています。しかも、OCW-S2000は文字板がマット地だったのですが、今回はクリアなので、より黒く見えますね。
視認性とエレガントな雰囲気、双方を高めるために、黒を強調したかったんですよ。苦労して引き出したブルーを、より印象的に見せるという意味合いもあります。身に付けてくださるお客様が『ほらほら、キレイでしょ!』って、周りにアピールできる時計にしたいですから」
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