――本編撮影中に印象に残ってることはありますか?

古澤監督「2人を撮ってて良かったと思ったのは最後のシーン。先生が落ちそうになる瞬間、階段を駆け上がって来た時の表情が想像以上に良くて思わず声を上げてしまいました。こっちのこだわりで映画を作るのではなく、役者のポテンシャルを引き出すことが1番面白い事で大事な事なんだということを若い2人に教えられましたね」

橋本「そう言って頂けて素直にうれしいです。その時はスタジオのセットでどうなってるのかよく分かんなかったけど、監督が良いよって思ってるのがすごく伝わってきたのを覚えてます。そういう瞬間を1つの現場に残せたらやって良かったと思うし、自分の財産になると思う」

――スピンオフの撮影で久しぶりに再会して、どんな心境ですか?

古澤監督「1年半経って、2人共しっかりした頼もしい俳優と女優になりましたね。この先、大人になった2人と仕事をしてみたいです」

橋本「監督は俳優の動きや考えを尊重してくれながらも、すごくリードしてくれてやりやすい。だから現場で楽しくいれるんだなぁと思います。山崎くんは……、難しいな」

山崎「『久しぶりに会って楽しかった』で良いでしょ(笑)?僕はスピンオフを撮ると聞いて、久しぶりに集まるのを楽しみにしてました。橋本さんは、すごい成長されたと思うし、大人になってるなと思います」

――橋本さんと山崎さんは、役作りで変わってきたことはありますか?

橋本「演じる人物が、今まで歩いてきた道とか人生全部を体に取り込んでから演じるようになりました。台本には書かれていない記憶を反芻したり、カメラの関係で『ここから歩いて』って言われても、そこよりもっと前から歩くとか。繋がっているものに体全体で触れてから、カメラに映ろうと意識してます」

山崎「役を頂いてから、参考書とかを読むようになりました。今までは感覚で演じてることが多かったんですけど、役に必要な情報を読んだり、用語を勉強したり。ちょっと大人になりました」

作品概要

2012年8月に公開された映画『アナザー Another』は、ミステリー作家・綾辻行人の同名小説を『今、恋をはじめます』などを手掛けた古澤健監督が映画化した学園ホラー。山間の地方都市の中学校に転校した15歳の榊原恒一(山崎)は、クラス内でまるで存在しないかのような扱いを受けている少女・見崎鳴(橋本)が気にかかる。不思議に思った恒一は鳴に近づこうとするが、その現場を目撃したクラスメートが不審な死を遂げ、クラスメイトたちに不吉な出来事が起こり始める――というストーリーで、キャストは山崎、橋本のほか袴田吉彦、加藤あいらが出演している。2013年2月22日に発売されるスペシャルエディション版のブルーレイ(6,510円)&DVD(5,460円)には、メイキング映像や新たに撮り下したスピンオフムービーが収録されている(共に発売元:角川書店)。