というわけで(どんなわけだ)、撮影をさせていただいた。

狙うはもちろん川の中洲の鳥だ!と言いたいところだけど、ここは大都会東京のド真ん中。175万円のレンズを渓流まで借り出して運搬する勇気はなかったので、キヤノンの担当者が見守る中で撮影を試すことにした。案外気が小さい。

約250m向こうにある、京浜急行品川駅の駅舎の壁に描かれた「品川駅」という文字に焦点を合わせる。正直、光学30倍ズームのコンデジでこのくらいの焦点距離の写真は撮っているので、見え方自体はべつに驚かなかった。ただし撮影結果はまったく別物。

まず、解像感がちがう。つまり画質である。画質は使うカメラに依存する部分も大きいけれど、手持ちで250m先の被写体をこれほどクリアにピックアップできるのは、やっぱりさすがだと思う。一眼レフ+単焦点レンズの破壊力を感じる。

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「EOS-1D X」で約250m離れた地点から京急品川駅の「品川駅」という文字を狙ってみた。超望遠はコンデジで慣れていたので見え方自体は驚かなかったけど、撮った写真を見てみると美しさや解像感はまったくちがう。拡大したってこんなにキレイ(なお、撮影時が曇りの日の夕方だったので一見キレイに見えないのはご勘弁を)

ほかにもコンデジとは異なる利点を考えてみた。コンデジだと、撮り方によっては画面全体にピントが合った状態に近くなる。運動会でせっかくうちのお子様の晴れ姿を狙っているのに、近くでもっと活躍している別の子の決定的なショットが写っちゃったりして、残念な思い出写真になってしまうかもしれない。その点、一眼レフに長尺のレンズを付ければ、ピントを合わせたうちのお子様だけを堂々の主役として撮影できる。もちろんここでほかの子にピントを合わせちゃったら意味ないけど。これはぜひ、背景をうまくぼかした鳥の写真を撮ってみたかった。

「EOS M」にアダプターをかまして装着!

続いてAPS-Cのミラーレス一眼「EOS M」にも付けてみた。こちらは前述のように、イメージセンサーのサイズの関係で焦点距離は1.6倍。つまり35mmフィルム換算で1,280mm相当というスーパー超望遠になるわけで、これはワクワクした。先ほどの「品川駅」の文字を狙ってみると、「品川」しか入らなかった。

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続いてAPS-Cサイズセンサーの「EOS M」に取り付けて、250m離れた同じところを撮影。焦点距離が1.6倍になるため、「品川駅」の「駅」は入らず「品川」だけになった。このレンズを買うような層は「EOS-1D X」などフルサイズのユーザーが多いかもしれないが、エントリークラスの「EOS Kiss」や、さらにはアダプターを装着すれば「EOS M」でもいけるのである

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参考までに、「EOS Kiss X6i」にズームレンズ「EF-S18-135 IS STM」(焦点距離18~135mm)を取り付け、同じ辺りを撮ってみた写真がこれ。APS-Cなので実際の焦点距離は約28~216mmくらいになる。こうして見ると800mm(1,280mm)というのはよっぽど異様な世界なんだということがわかるだろう。野鳥でもF1でもなんでもこいってもんだ

レンズの焦点距離には好みってものがあって、広角を多用する人、標準寄りが多い人、なんでもかんでもズームアップして撮る人といろいろいる。僕は望遠派で、東京スカイツリーを撮るのでも全体像を入れるより、展望台とかてっぺんとかの一部をアップして撮るのが好きなので、こういう超望遠レンズは大歓迎。買いたいなぁ、と真剣に思った。175万円のクルマを買うのとちがって置き場には困らないから、マンション暮らしで駐車場がなくても問題ない。ただしこれを買うことによって、家賃がもっと安いマンションに引っ越さないとダメだろうけど。

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