アンテナ内蔵の小型ボディでも高いパフォーマンス
実際の通信速度も簡単に計測してみた。計測場所は筆者の仕事場所で、東京都内にある鉄筋4階建てのビルだ。AtermWR8165Nは2階に設置し、AtermWR8165Nと同じ部屋(近距離)、1階、3階という3カ所で計測している。
なお、今回の計測環境はかなり悪い部類だ。鉄筋は電波を吸収する性質があり、木造の家屋と比較して、鉄筋の建物は無線LANの実効速度が確実に落ちる。特にフロアが異なると、まったく通信できなくなる場合も多い。よって、AtermWR8165Nは窓際に設置し、1階と3階からの通信もできるだけ窓際に近い場所で行っている。
さらにもう1つ、AtermWR8165Nは理論値最大300Mbpsなのだが、今回のテストではどうしても理論値最大150Mbpsでしか接続できなかった。AtermWR8165Nは、送信×2・受信×2のアンテナを内蔵しており、送受信とも2つのアンテナを使ったデュアルチャネルアクセスで最大300Mbpsとなる。しかし、2.4GHz帯は電波が非常に混み合っているため、搬送波の帯域幅が40MHzから20MHzになることが多い。今回はまさにその状況だった。
以上を踏まえると、AtermWR8165Nのパフォーマンスはかなり良好と言ってよい。近距離の通信で下り約44Mbps、1階と3階でも下り20Mbps弱のスピードが出ている。電波状況が良い場所でデュアルチャネルアクセスになれば、近距離通信でおそらく100Mbps近くまでは伸びそうだ。無線LANの実効速度は環境によって大きく変わるため、今回の結果もあくまで一例と考えてほしい。
値段も手ごろで手軽に導入できる
AtermWR8165Nは位置付けこそエントリーモデルとはいえ、手軽に導入できる無線LANルータとして良くまとまっている。USBポートとUSBデバイスサーバー機能、メディアサーバー機能といった付加的な機能は持たないものの、PC、スマートフォン、タブレット、家電を無線LAN/有線LANでつなぐという使い方には十分だ。
特に、戸建て住宅やマンションの自室、一人暮らしの部屋に置く無線LANルータとしては、コンパクトで洒落たAtermWR8165Nは魅力的に映るだろう。実売で約3,000円、USB子機セットでも約5,000円の価格も(2012年11月下旬の時点)、それほど多機能な無線LANルータを求めないユーザーには嬉しいところだ。
余談だが、複数台のPCや家電をつないで映像など大量のデータ通信を行う場合は、5GHz帯のIEEE802.11a/nと2.4GHz帯のIEEE802.11b/g/nを同時に使える上位モデルをおすすめしたい。これには、AtermWR9500N(HPモデル)、AtermWR8750N(HPモデル)、AtermWR8600N(HPモデル)がある。