小林よしのり
漫画家、思想家、社会評論家。大ベストセラー「おぼっちゃまくん」、「ゴーマニズム宣言」以降、現代日本文化や文明についての多数の著書を発表。テレビ朝日「朝まで生テレビ!」出演や、様々な討論番組や対談へのゲスト出演等、常に言論界の中心で有り続けている。

濱野智史の著書「前田敦子はキリストを超えた 宗教としてのAKB48」

濱野:僕がもともとAKBにはまったのは小林よしのりさんの鼎談がきっかけ。そんなに言うんだったら見てみるかと思って「RIVER」見たらガーンって。それがなかったらたぶんハマってないんですよ。マジに感染しました。

小林:ワシから感染したのにワシを遥かに超えていったからな。もう、熱狂の度合いが違うもん。

中森:初期はさ、小林さん大丈夫かと。でも、今は、はまのんが来月出す本「前田敦子はキリストを超えた」だよね。

小林:完全におかしいよ(笑)。

濱野:マジキチじゃない宗教なんてないですよ(笑)。

中森:炎上商法とも言われてるけどさ。最近のネットでは、はまのんとさかもと未明を知らない人はいない(笑)。

濱野:炎上商法じゃないですよ!

小林:ワシは何を書こうと、本気で好きなのを知ってるから。だから、何書いても許すよ。好きでも何でもないやつがガタガタ言ったってね、何にも分かりゃあしない。

宇野:あれ読んだら、今、釣りタイトルとか、ネタ本だとか言ってる人はみんな後で大恥をかくと思います。AKBという文化現象がなぜ、人をここまで惹きつけているのか。それを正面突破している本なんですよ。あのタイトルである必然性が、中盤になると明確になってきます。

中森:前田敦子=キリストがさ、今までどれだけの受難があったのかと。

濱野:まさにそういうことにも踏み込んでいます。

宇野:僕はあとがきに、まさにAKB48は最も成功した宗教的なものなんだと書いたんですよ。ちょっと表現は違いますけど。だから、AKB48というのは1つの流行風俗を超えてしまっていると思う。今の世の中を考えるときの、本質的なものっていうのが全部つまっていると思うんですよ。これまでとは違ったユニークな方法で、人を引きつけて、つなげている。そのことが宗教というものにすごく近い。

中森:たまたまキリストが出てきたけど、宗教って何かを信じるっていう話でしょ。信じる者があるのかと。さっきも楽屋で話してたんだけど、安倍晋三と猪瀬直樹なんか絶望だよ? 橋下徹にしろ、石原慎太郎にしろ、大同小異だ暴走老人だとかね。もう何にも信じられないじゃない。たかみな(高橋みなみ)の方が圧倒的に信じられるじゃない?

宇野:今、日本で最も指導力のある人間って高橋みなみですよ(笑)。

小林:たかみなはワシを裏切らない!

指原莉乃と小林よしのり

小林:あのねー、この本(「AKB48白熱論争」) の中でいちばん恥を晒してるのはワシだと思うんだよね。ちょうどこの頃、さっしーのスキャンダル事件があってね。この本ではね、博多に行って潰れてしまえばいいんだとかね、言ってしまってるわけよ。AKBのことでトラブルとかが起こるとイチイチ落ち込んだり、イチイチかっとなったりとかしてて。でも、秋元康は巧みだよね。博多の屋台でラーメン食べながら対談してくれって言われて。宗教として遠くから信仰するっていうのもあるけど、すぐ近くで話をしてみて宗教として感化されてしまうっていう部分もあると思うね。

宇野:これね、本当にそうで。僕、「PLANETS」っていう雑誌を作ってて、奇しくも2005年12月創刊なんですよ(AKB48の結成年月)。今、8号目を作っていて、表紙を横山由依さん、ゆいはんにお願いしたんですよ。撮影とインタビューを2時間半くらいしたんですけど、本当にいい子で。これからの僕は物事の判断を、ここでAを選ぶ宇野とBを選ぶ宇野とどちらをゆいはんが尊敬してもらえるんだろうかを考えて生きようかなと(笑)。でもね、これが「会いに行けるアイドル」というAKBの本質だと思うんですよ。つまりね、握手会もそうだし、毎日の劇場もそうだし、近くにいると圧倒的な情報量があるんですよ。短い時間でも、表情だったり話のニュアンスだったりとか。その結果、感染っていうのが圧倒的に引き起こされやすくなるんですよね。

濱野:実際に宗教に近いところがあるんですよね。最近、僕、ぱるるに認知されたんですけど、認知されると信仰のモードとして、まさに一神教の人が心の中に神様がいて、神様から見られているから悪いことしちゃいけないっていう倫理観がベースになるっていうじゃないですか。ぱるるに認知されたら、絶対に犯罪とかできないですよ。

映画『悪の教典』の特別上映会にAKB48メンバーの38名が招待されたが、
大島優子はそのあまりの過激な内容に涙を流しながら退席した

大島優子

中森:さっき、我々の楽屋での話を聞いて、すーちゃん(佐藤すみれ)が笑いながら批判家の人たちって言ってて、我々誰も批判してないって思ったんだけど…いや俺、大島優子は批判してたなと(笑)。

小林:あれは、ひどい(笑)!

中森:前田敦子がキリストなら、じゃあユダはね、もしかしたら大島優子じゃないかと思うんだよね。

小林:これだよねぇ(笑)。

中森:悪の教典! 悪の教典事件はどうだったよ。

小林:悪の教典事件はすばらしかったよ! 大島優子の本当の心の純粋さというかね。

中森:僕はね、女優失格だと思う。

宇野:でもね、アイドルだから当たり障りのないことを言うべきなんてね、AKBには通用しないと思いますよ。

濱野:でも、あれでみんな見に行きたいと思ったでしょ?

中森:そのはずだよね。逆宣伝になったでしょ。いや、いいんだよ。AKBとしてもいいし、うまい宣伝だとおも思った。でもさ、本当に泣いて出て行っちゃったんでしょ?

小林:この人、大島優子とゆきりん(柏木由紀)を全然いいこと言わないから。

中森:ゆきりん、いいこと言ってるじゃない!

宇野:中森さんって大島優子を落とすことによって、ゆきりんを持ち上げようっていうスタンスがせこいですよね(笑)。

濱野:ははは! せこいまで言われてる(笑)。

中森:僕は純粋にゆきりんファンであってね。大島優子、どうかと思うよ? うん。……続きを読む。