コントリビューターの撮影手法やメンタルとは
ここでは、さまざまな話題が飛び交ったプレゼンテーションの中から、ストックフォトに作品を投稿したい、もしくは挑戦中であるフォトグラファーやクリエイターに向けたコメントを抜粋する。
まずは、ヒット作を生み出し続けている本間氏のプレゼンテーションから、代表的な作品の撮影方法を紹介。本間氏の作品は見た目から想像できないほど、アイデアや工夫が凝らされており、ストックフォトでの成功が一筋縄では行かないことを感じさせる内容となった。
2,500回のダウンロード回数を記録し、同氏のヒット作となったグラフ(書類)のイメージ写真。このイメージは点数が多いカテゴリに属するので、差別化を図るため光の当て方を工夫し、微妙なトーンを演出しているという。水滴の付いたガラス窓からビル群を見た夜景写真では、PC画面にビル群の写真を表示し、画面前に設置したガラスに霧吹きで水滴をつけて撮影した。また、撮影時は特に工夫をしなかったコンテナの写真でも、撮影後に丸1日かけて、コンテナにペイントされていたロゴを消去したのだとか。
藤田氏のプレゼンテーションでは、iStockphotoの魅力や、厳しい審査に立ち向かいながら作品を投稿し続けるためのメンタルなどが語られた。藤田氏が感じるiStockphotoの魅力は、他のストックフォトでは取り扱ってもらえないようなアングルや作り込みを行った写真でも受け入れてくれるため、売れるかどうか分からない実験的な作品をアップし、顧客の反応が確かめられること。また、配信費用がかからないのに作品が売れた場合の収入は大きく、見知らぬ閲覧者から突然自分の作品を褒められる事もあったという。
しかし、iStockphoto最大難関となるのは、やはり審査だという。動画の場合、不要な映り込みやノイズなどが細かくチェックされ、場合によっては構図から否定された作品もあるとか。厳しい審査に耐えきれずに挑戦をやめてしまう同業者も多いが、負けずに続けていれば、いつか作品が売れたり、評価されたりすることもあるので、あきらめないことが大切だという。
フリッカーコレクションのコントリビューターであるトレバー・ウイリアムス氏のプレゼンテーションでは、写真がライセンス化されるようになった現在までの経緯が語られた。
同氏がコントリビューターを始めたのは2年前。ストックフォトを意識した写真を撮影したにも関わらず、なかなかライセンス化されなかったという。しかし、たまたま提供した、「酔っぱらっている友人の写真」が何度もダウンロードされたことから、今まで意識していたのは小さな日本のマーケットで、ゲッティ イメージズにはもっと大きな世界のマーケットが存在することに気がついた。
そこでウイリアムス氏は、「どんな写真が売れているのか」ということよりも、「どこで誰が買っているのか」という点に注目するようになったとのこと。現在は、自分のパーソナルな部分を出した写真の撮影を行うとともに、長い期間を見据えた活動を行って、短期間で結果を求めないようにしているという。
登壇したコントリビューターの写真
最後に、登壇したコントリビューターたちがプレゼンテーション内で紹介した作品の一部を掲載する。すでにお伝えしてきたように、個性的な写真の数々が展開され、写真に取り組む多くの人にとって興味深いイベントとなった。