ソフト面で富士通が打ち出すヒューマンセントリックエンジンに対して、ハード面で同社が繰り出す秘策が、今年の8月に富士通、NTTドコモ、NEC、富士通セミコンダクターの4社で設立したアクセスネットワークテクノロジ製の新世代通信処理LSI、「コードネーム:COSMOS」だ。

通信処理LSI(Communication Processer)とは端末で通信処理・制御を行うためのチップであり、これにアプリケーションの動作や画像処理を行うアプリケーション処理LSI(Application Processer)を加えたシステムが、スマートフォンやタブレットといった端末の通信プラットフォームを動かしている。つまり、スマートフォンやタブレットの通信パフォーマンス向上のカギを握るのは通信処理LSIなのだ。

富士通とNTTドコモはこれまで、「UBB4+SAKURA」という国産としては初めてLTEをサポートした通信処理LSIを端末に搭載してきたが、新しい通信処理LSI「COSMOS」では富士通独自のソフトウェア無線技術によるきめ細かな電力制御により低消費電力化を実現。これにより通信における電力消耗を軽減させ、端末のバッテリーを長持ちさせることができるようになったという。

また、高性能なアプリケーション処理LSIと組み合わせることで、よりサクサクな動作も実現。通信技術を根本的に改善することで、「バッテリー消費軽減」と「軽快な動作」という、スマートフォン・タブレットにおける2つの最重要課題をクリアする狙いだ。この「COSMOS」は、今回発表された「ARROWS Tab F-05E」に搭載されている。

遅れを挽回し、海外メーカーにどこまで迫ることができるか。スペックだけでなくソフト面やユーザビリティを重視する富士通の今後に期待がかかる

富士通執行役員常務の大谷信雄は、「日本は出遅れていたが、スマートフォンの技術はキャッチアップしたと思う。ヒューマンセントリックエンジンなどフィーチャーフォンで10年かけて培ってきた日本らしい技術をスマートフォンにも展開し、アピールしていけばシェアは挽回できると考えている」と述べ、今後のシェア獲得に意欲を示した。

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