NTTドコモが全国10都市の一部の地域で同社LTEサービス「Xi」を11月16日より下り最大100Mbpsに高速化したと発表。11月16日にドコモのLTEの取り組みについて記者説明会を行った。
各社が相次いで提供を開始し、注目を浴びているLTEサービス。他社に先行してサービスを開始しているドコモだが、ユーザー数の増加などによりトラフィックが急増、特に都心部などでネットワークが混雑し、LTEらしい高速通信の恩恵が得られにくくなっている。
今回の説明会では、Xiの高速化の詳細に加えて、このような問題をいかに解消するかについて説明があった。本稿では、Xiがどんなサービスかおさらいしつつ、説明会で語られたドコモの取り組みについて紹介しよう。
Xiのエリア拡大、高速化の取り組み
ドコモのXiは、2010年12月24日のサービス開始以降、高速・大容量・低遅延というLTEの特徴を武器にユーザー数を拡大。逼迫する3G網に対して周波数利用効率が良いため、積極的なマイグレーション(移行)を進めている。この冬のスマートフォン新製品ラインナップでは全ての端末がXi対応となっている。
主要駅や空港、新幹線ルートで1位の品質を確保していくことを目指しながら対応エリアを拡大。2012年度中に人口カバー率を全国で約75%に拡大し、2013年度中に約90%にまで拡大させていく計画だ。すでに全国政令指定都市の人口カバー率は100%になり、計画より前倒しで基地局の設置を進め、年度内には23,000局にまで達する見込みとなっている。
エリア拡大と同時にさらなる高速化も狙う。これまで一部地域にとどまっていた下り最大75Mbpsのエリアを広げるとともに、下り最大100Mbpsサービスを開始。冬のスマートフォン新製品で100Mbpsサービスを利用できるようにした。さらに、2012年度内に下り最大112.5Mbpsまで高速化し、対応端末も発売するとしている。
下り100Mbpsの高速サービスは、11月16日から新潟県新潟市、石川県金沢市など7県10都市でサービスをスタート。2013年春には札幌、仙台、広島など全国50都市以上にまで拡大する予定だ。1.5GHz帯を活用するため、2014年春まで同周波数帯が利用できない東名阪地域でのサービス開始は遅れるが、事前に準備を進めて利用可能になった段階で一気にエリアを拡大するとしている。
加えて、3Gで使われている800MHz帯も同様に活用する方針だ。この800MHz帯の5MHz幅分は現在でも東名阪や九州で利用可能となっており、「都心部で使えるところがあれば積極的に使っていきたい」(同)という。
LTEは利用する電波が5MHz幅区切りで、複数の電波をまとめることで高速化が可能になる。5MHz幅で37.5Mbps、10MHz幅だと倍の75Mbpsになり、15MHz幅を使うことで、最大で112.5Mbpsの速度が可能になる。つまり100Mbps対応エリアは、能力的には112.5Mbpsまでの速度が出せる。現時点では端末が100Mbpsまでしか対応していないが、2013年春モデルで112.5Mbps対応端末を発売する計画だ。
ドコモが100Mbpsエリアの新潟市で事前にテストしたところ、下り速度は平均78Mbps以上、最大90Mbps以上となり、ほぼ理論通りのスピードが出た。上り速度も高速化され、平均は21Mbps以上、最大は25Mbps以上だったという。ただし、1つの基地局の配下にいるユーザー数が増えると速度は低下するため、あくまでサービス開始前の「最高速」と言っていいだろう。
冒頭で述べたとおり、ユーザー数の多さが、ドコモの課題だ。1つのエリアで設置できる基地局の数に限りがあるため、ユーザー数が増え、トラフィックが増加するに従って速度は低下する。それを解消するには、技術的な対策に加えて、利用する周波数帯を増やすしかない。