丸ボケの大きさは、ピントを合わせる被写体からカメラまでの距離によって変化します。この距離が短ければ短いほど、丸ボケの直径はより大きくなります。
さらに、使用するレンズの焦点距離や、設定する絞り値によってもボケの大きさは違ってきます。より大きなボケを作りたいなら、標準ズームレンズの場合はワイド側ではなくテレ側を使うこと。単焦点レンズの場合は、35mmフィルム換算の焦点距離が80~100mm前後になる中望遠レンズがオススメです。
カメラの設定については、絞り優先AEモードを選び、絞り値をそのレンズの開放値(最も小さな値)にセットします。絞り値は、数値が小さければ小さいほどボケを大きく表現できます。
絞り優先AE(F2.8 1/25秒) 露出補正:-0.7 感度:ISO640 WB:オート カメラ:OM-D E-M5 レンズ:「LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH./POWER O.I.S.」(写真をクリックすると拡大します) |
ここまでに掲載した写真をよく観察してみると、写真によっては、背景の丸ボケが完全な円形ではなく、画面の周辺部になるほど形がややつぶれ、レモン型になっていることが分かるはずです。これは光がレンズを通過する際に、その一部が遮られてしまうために生じる「口径食」と呼ばれる現象です。口径食の影響は、使用するレンズによって度合いが異なります。個人的にはあまり気にしませんが、完全な「丸」にこだわる場合は、口径食の少ないレンズを選ぶのがいいでしょう。
さて、ここまでの写真では、背景をボカしているため肝心のイルミネーション自体はちゃんと写っていません。そこで最後に、丸いボケを表現しながらも、イルミネーションにくっきりとピントを合わせる方法を紹介しましょう。
そのポイントは、2つ以上のイルミネーションが少し離れた位置に並んでいる場所を探すことです。そして、その手前にあるイルミネーションのすぐそばにカメラを構え、前景として少し写し込みつつ、ピントは奥にあるイルミネーションに合わせて撮影します。すると、奥のイルミネーションがシャープに写る一方で、手前にはきれいな丸い前ボケが生じます。
前ボケ用の手前のイルミネーションにはできるだけ接近することが、ボケのサイズを大きくするコツです。ボケと背景の重なり具合をチェックしながら、バランスのいい構図を見つけるといいでしょう。自由な発想で丸ボケ写真を楽しんでみて下さい。
絞り優先AE(F1.8 1/80秒) 露出補正:-0.3 感度:ISO400 WB:オート カメラ:OM-D E-M5 レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」(写真をクリックすると拡大します) |
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