生まれ変わった「Windows.com」
情報提供の場として定着したWebサイトの活用法として、さまざまな試みが行われているが、閲覧者へ確実に情報を提供しなければならないという役割に変わりはない。Windows OSの主要なポータルサイトとなる「Windows.com」も、Windows 8リリースのタイミングに合わせて刷新したが、そのコンセプトは先頃Microsoftが提唱した「Reimagining(再創造)」に基づくものだった。
Windows 8のリリースに合わせて立ち上げたWindows.comは、以前から用意されていたWindows OSに関するコンテンツを集約させたサイトである。実際のアドレスは「windows.microsoft.com」とmicrosoft.comのサブドメインとして動作しているが、同サイトがWindows 8やInternet Explorer 10のコアサイトであることに変わりはない(図05)。
Windows.comチームのコンテンツ公開マネージャーであるUlrike Irmler(ウルリケ・イルムラー)氏は自社のブログでWindows.comというWebサイトの構築あたり、「巨大なWebサイトを構築するためのデザイナーやマーケティング担当者など多くの人材を集め、各人の専門知識を集約させた」とその苦労を説明している。また、サイト構築にあたってリサーチを行った結果、「Windowsを使ってみる」「ダウンロードと購入」「使い方」「サポート」と四つのセクションに切り分けたという。その結果、用意していたWebページを減らし、古くなったコンテンツは無慈悲に破棄したそうだ。
トップページのデザインからもわかるように、提供する情報であふれると視認性が低下することを踏まえ、シンプルな構成を採用しながらも、Webページ先頭部分には、前述した四つのセクションが並んでいる。「Windowsを使ってみる」では、文字どおりWindows 8の特徴をアピール。動画も用意し、視覚的な強調に訴えているのが特徴だろう(図06)。
「ダウンロードと購入」もトップページはシンプルだが、各国のWindows 8プリインストールマシンを紹介しているのが新しい。ご存じのとおりMicrosoftはOSを中心としたソフトウェア会社であり、各ベンダーにOSやソフトウェアを販売することで売り上げをあげてきた。もっともMicrosoft製マウスなど定評のあるハードウェアを販売する側面や、Microsoft Surfaceという自社製コンピューターの登場により、状況は変わりつつある。
そのため、各ベンダーのコンピューターを自社のWebサイトで紹介するような例は少なかったが、Windows 8の普及拡大を望む同社は、間口(まぐち)を広げて各ベンダー製コンピューターと共にWindows 8をアピールする方法を選択しようだ。ITリテラシーが高くないユーザーにとってOSは単独の存在ではなく、コンピューターとセットの存在だと考える傾向がある。そしてITリテラシーが高くないユーザーが購入して初めて普及したと言えることを踏まえれば、この方向転換は正解だろう(図07~08)。
「使い方」は文字どおりWindows 8に対するハウツーを中心としたWebページだ。以前のWindows OSと比べると大きくUI(ユーザーインターフェース)を刷新したWindows 8を使いこなすには、欠かせないコンテンツである。内容は対象によって異なるものの、一方では画面写真を多く使うものもありながら、Microsoftアカウントに関するハウツーは、Windows 8に付属するヘルプと大差ない。テキストベースの解説となっているため、コンピューター初心者が閲覧する内容としては少々厳しいだろう(図09~10)。
最後の「サポート」は従来のナレッジベースやFAQをまとめたものだ。他のセクションと比べると簡素な印象を受けるが、これはトラブルが発生した際に素早く目的のコンテンツを探し出せるようにするため、意図的に簡素化したと同氏は述べている。カテゴリや製品別に整理されているためわかりやすい。こちらもテキストベースのコンテンツだが、その役割を踏まえれば十分だろう。なお、掲載されている情報はWindows 8のヘルプ機能で参照できる内容と同じだ(図11)。
このように「Windows.com」は、Windows 8の導入前から運用時のサポートまで幅広い場面に役立つコンテンツを提供している。必ずしもアクセスする必要はないが、時間が余っている時に訪れてみると新しい発見があるかもしれない。
阿久津良和(Cactus)