現在のビジュアルトレンドとは
2人目のプレゼンテーターは、ゲッティ イメージズでクリエイティブ・プランニングを担当するMichaela Schwing氏。Schwing氏は、現在の社会状況や社会状況に即したコマーシャル・ビジュアルのトレンドを研究し、トレンドを読み解くキーワードの抽出を行っているスタッフだ。
ゲッティ イメージズでは、「Curve」というビジュアルトレンドのホワイトペーパーをWebサイトで発行している。その中では、広告、マーケティング、メディアで起こっているビジュアルコミニュケーションに焦点を当て、どのようなトレンドが社会で起きているのかを地域、文化、テクノロジーといった分野を踏まえて分析しているとのこと。
Schwing氏は、Curveで分析したデータも踏まえて、異なる業界から「安全、健康、絆」、「リアルな表現」、「オリジン」、「ディスカバリー(発見)」、「ヘルシー(健康でいること)」といった5つのトレンドを紹介した。
「安全、健康、絆」は、最新号のCurveで焦点を当てた金融業界のトレンド。金融危機が起きてからの数年で多くの変化があり、人々が「豊かさとは何か」という事をもう一度見直している時期にあるという。そこで、家や物を所有する物質的な豊かさではなく、生活の中で一番大切な「安全、健康、絆」を反映させたイメージを顧客は求めているという
「リアルな表現」は、この数年間で多くの人々に浸透して来たソーシャル・フォトグラフィー分野でのトレンドとなる。Facebookなどの普及により、多くの人々にとって写真が身近で重要な存在になっており、広告やマーケティング、メディアにも大きなインパクトを与えている。その中でゲッティの顧客は、リアルなビジュアル表現をしているコンテンツに閲覧者がシフトしていることを感じており、リアルな人や感情を表現した写真を求めているという。特に大企業では、日常にあふれている瞬間や、生活の中のある瞬間をポエティックに表現しているビジュアルを求め、新しい顧客との信頼関係を得ようとしている。
また、「オリジン」は、日用品の中でも美容品や食材を扱う業界に注目されているトレンドだ。消費者が偽りの無い製品に興味を持ち、その製品がどのようなプロセスで生まれたのか、どのように作られているのかを知り、社会問題・環境問題・モラル問題を考えながら、製品を買うことによって自己表現の材料にしているのだとか。その消費者に応えるために、農家やプロデューサーの写真、原産地の写真など、リアリティにあふれる写真が求められている。
「ディスカバリー(発見)」は、トラベル業界のトレンド。テクノロジーやインターネットの発達により、実際の体験をシェアできるようになった現在では、遠方への旅行だけが冒険とみなされるわけではない。国内で知らなかった場所を発見することも、ちょっとした冒険として捉えられる。そうした、新しく自立精神にあふれたアングルのイメージが求められている。
「ヘルシー(健康でいること)」は、日常生活におけるトレンド。これは、テクノロジーの普及にともない、健康への取り組みが意識的に日常へ組み込まれる時代となったためだ。例えば、スマートフォンとアプリ使って自分自身の健康や行動をモニタリングするなど、健康的な日常生活にテクノロジーを取り入れた様子をビジュアル化したイメージに対してニーズがあるという。
最後にSchwing氏は、ここで紹介したトレンドが撮影に役立てば幸いだとしてスピーチを終了した。