「Apple Store App」がSiriに対応、その意味とは
Siriは、クライアントであるiOSデバイス側と、サーバ側(クラウド)とで役割分担されていることは確実だが、それぞれ具体的にどのような処理が行われているか明確にされていない。2012年11月時点では開発関連情報も非公開とされ、デベロッパープログラム登録者にすら詳細はわからない。
今回アップデートされた「Apple Store App」は、謎に包まれたSiriがどのように一般化するか、その秘密のベールの一部を垣間見せるものだ。
まず、アプリ単独での対応には限界がある。たとえば、「iPadはいくら」と話しかけると、「Apple Store App」未インストールの状態では「iPadに関する情報ならなんでも"Apple Store"Appでわかりますよ」と返事があり、インストールも働きかけられた。このように動作するためには、クラウド側の音声認識エンジンが「iPhone」や「iPad」といった言葉に対しどのように反応するか、あらかじめ決められていなければならないはずだ。もしサードパーティーの開発が可能になったとしても、そのような"言葉の予約"をどう扱うか。難しい問題であるとともに、システムレイヤーから呼び出す現在のSiriの限界を感じさせる部分といえる。
一方、デバイス側のシステム変更が必須でないこともわかる。Siri起動後の情報画面(マイクアイコンそばの「i」ボタンをタップ)に、「Apple Store App」の項目が追加されていないことからもわかるとおり、iOSデバイス側のSiriはサーバが解析した結果をもとに「Apple Store App」を起動しているに過ぎない。動作条件がiOS 5以降とされている点からしても、これは確実だ。
以上の材料から判断すると、ロック画面から呼び出せるSiri対応アプリは、プライベートフレームワークを含め自由に使えるApple純正品以外考えにくい。もしSiri対応をアプリ内で完結させることができれば、他のアプリと予約語が重複してしまう問題を解決できるかもしれないが、「Apple Store App」にそのような実装は確認できなかった。Siri APIがサードパーティーに公開されることは、当面ないのではないか……というのが、今日得られた結論だ。