Bluetooth SIG(Special Interest Group)は8日、Bluetoothの最新動向について記者説明会を開催。同グループCMOのスーク・ジャワンダ氏が登壇し、Bluetoothの現状と今後の展開について語った。また、パートナー企業4社も新商品や新開発の技術について説明した。
Bluetoothはその簡便さから、現在では携帯電話、スマートフォン、PC、ゲーム機をはじめとするホスト端末、およびヘッドセット、スピーカーといった各種の周辺機器などに広く採用されている。
ジャワンダ氏によれば、その数はグローバルで90億台以上におよび、2012年だけでも20億台以上の製品が市場に出荷される見込みだという。また、安全性の面から医療分野で利用されているケースも多く、Bluetoothを搭載した医療機器は現在1,500万台以上にのぼるとのことだった。
Bluetooth SIGが発足したのは1998年で、参加企業は2012年11月時点で1万7,000社あまり。日本市場においては、パナソニック、ソニー、任天堂、オムロンなど約800社が参加している。グローバル全体では毎月200社が加盟している計算になり、昨年から今年にかけては14%増で伸びているという。
最新バージョンとなるBluetooth 4.0は、MicrosoftのWindows 8や、AppleのiPhone 5、iPod nano、iPod touchなどで標準サポートされている。ジャワンダ氏は「Bluetooth 4.0は低消費電力かつ高レベルセキュリティを実現した、革命的な技術。GoogleのAndroidプラットフォームでも今後、普及が進んでいくものと期待している」とアピールした。
プレゼンテーションでは、低消費電力モードで通信を行えるBluetooth Smartを搭載したデバイスについて説明があった。例えば、Bluetooth搭載の歯ブラシでは、歯を磨いた時間、頻度、どの歯をどの程度の力を入れて磨いたか、などのデータが収集できるようになっている。8歳と6歳の子どもを持つジャワンダ氏も「非常に良い製品が発売された。早速、子どもに与えて試してみたい(笑)」と話す。
ゴルフクラブのシャフトにチップが埋め込まれた製品では、スイングの速さ、ボールのどの部分を打ったか、ボールがどの程度飛んだかなどのデータが、シームレスにスマートフォンに送られるという。ジャワンダ氏は「バーチャルなゴルフレッスンのコーチが、ポケットの中に入っているようなイメージ」と説明した。
特に、医療分野ではBluetooth機器が急激に増えており、その数は今後3年間で2億台まで拡大する見込みだという。一例として、糖尿病患者の血糖値を測る機器では、計測したデータをBluetooth経由でPCに転送し、タブレットやスマートフォンでも確認できるようになる。また、得られたデータをもとに、デバイス側から改善の提案を行うことも可能。「バーチャルな医療トレーナーが側にいるような使い心地を実現できる」(ジャワンダ氏)とのことだった。
介護の分野においては、データをクラウド上にアップロードすることで、主治医がリアルタイム、あるいはオンデマンドで読み取れるようになる。患者の具合を適宜チェックでき、「ここ数日は数値が良くない」といったような場合に、予防的な処置を施すことができるという。
Bluetooth技術は、フィットネスの世界にも急速に広まりつつある。Bluetoothのチップを埋め込んだシューズやフィットネスウェアなどで、心拍数、消費カロリー、どれだけ自分の体を曲げることができたか、などの情報を把握。そしてリアルタイムでデータを送れるので、選手を指導するトレーナーやコーチという立場の人間も「カリキュラムにどの程度ついてきているか」を確認し、その都度、柔軟に内容を変更できるという。
そのほか、マシン to マシンの世界でも用途が広がる。例えば、コインパーキングにBluetooth機器を設置して各機器で連携すれば、ドライバーが「どの駐車場に空きがあるか」「利用料金はいくらか」などの情報をスマートフォンやカーナビで確認し、予約できるようになるという。ちなみに通信距離については、産業用のものであれば1km範囲にまで伸ばすことも可能とのことだ。
最後にジャワンダ氏は「物と物をワイヤレスでつないでいくBluetooth技術は、今後ますます重要になっていくでしょう。さらに多くのデバイスを対応させていくことが、我々のミッションです」と結んだ。
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