機能比較その2:辞書機能
変換効率が変わらないなら、IMの性能を形作る大きな違いはなんだろうか――。それは各IMがもつ辞書機能にある。知らなかった単語を教えてやることで次からは正しい変換ができるようになる機能だ。
まずそれぞれのIMはもちろん「辞書登録」という明示された機能を持っている。単語から登録機能を使えば、顔文字に日本語を充てて登録できるようにもなる。
さらに、多くの場合は入力した言葉が正しく変換できなかったときに正しく変換してやると、次からは正しい単語で変換できるようになる「学習機能」を持っている。使い込まれたIMはユーザーのよく使う単語を辞書登録あるいは記憶しているため、その人にとってはとても使いやすくなるというわけだ。
加えて、今回取り上げたすべてのIMには国語辞典が内蔵されており、同音異義語で複数候補があるときなどは単語の意味を表示してどの漢字が正しいのかを確認することができる。またATOK/かわせみには和英辞典機能もあるので、日本語から英語への変換も可能だ。Google日本語入力の強みはネット上で注目されている語句が辞書に追加されることで、人名やニュース用語に強い。
- 【結果】辞書登録・学習機能はいずれも搭載。ATOKとかわせみは和英翻訳搭載、Google日本語入力はネットの語句で辞書をアップデートできるなど、それぞれの特徴がある。
機能比較その3:予測変換などの入力支援機能
携帯電話の日本語入力機能として発達した予測変換機能は、かわせみ以外の3本が搭載。日本語入力というと、昔は全文を入力して変換候補を絞ったりしていたが、今は予測変換を使って候補から早めに単語を確定するほうが効率的な変換ができる。よく使う言葉は最初の数文字で出てくるようになるので、例えば「お世話になります」などは「おせわに」まで入れただけで入力できる。複数の予測変換候補が出てきた場合は、[tab]キーで移動して候補から選び、確定しよう。
- 【結果】かわせみ以外の3本が予測変換機能を搭載し、入力時間を短縮できる。
機能比較その4:各IMの独自機能
ここまでの比較では、各IMにそれほど大きな差がないと感じたのではないかと思う。これではどのIMを選ぶかは好き嫌いで決めるしかないが、各IMを比較できる違いとして、各IMの独自機能を見てみたい。
ATOK
やはりもっとも機能が豊富なのがATOKだ。手書き文字入力や顔文字パレットなどパレット類が充実しており、さらに「お気に入り文書」からは登録したテキスト文書を呼び出すことができる。会社で使うお決まりの挨拶文句などはここから呼び出すだけでOKだ。
またネットを活用した機能も充実しており、ホットな単語をインターネット経由で配信して辞書に追加する「キーワードExpress」や複数端末間で辞書を共有できる「ATOK Sync」といった機能を利用できる。
ATOKは製品形式も少し変わっており、パッケージ版以外に「ATOKパスポート」と呼ばれる月額300円のサービスが用意されている。これを利用するとMac/Windows/Androidの各端末でATOKが利用できるようになる。ATOKが常に最新のバージョンに保たれるため、毎年ATOKを買い換える人にとっては便利なものだ。
かわせみ
かわせみには類義語変換と関連文字変換の機能がある。類義語変換は、例えば「莫大」という文字を変換したあとにこの機能を選ぶと、同じ意味になる単語を候補として表示してくれる。関連文字変換は、たとえば「関連」という言葉を指定してこの機能を利用すると、「関」の旧字体などを表示できる。
またかわせみには自動学習や変換履歴を残さない「プライベートモード」があり、メールなどの履歴から表示される変換候補によって個人情報が取得できたりすることを防ぐことができる。
ことえり
ことえりの最も大切なポイントは、iOSとの辞書の共有機能だ。Mac上で辞書登録された単語、あるいはiPhoneのユーザー辞書がiCloudの同じアカウントで利用されているiOS機器の辞書と同期されるようになっている。Mac/iPhone/iPadで同じ辞書を使いたいなら、ことえりが便利だ。
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