携帯事業の売上は、契約数とARPU(ユーザー一人当たりの平均収入)のかけ算で決まるが、Sprint単独で見れば、契約数もARPUも順調に拡大している。Sprintはこれまで、上位2社に押されて苦戦を強いられており、孫社長は「今まで、苦しい、金がない経営をしてきたが、やっと底をついて反転してくる」というタイミングだと強調。ソフトバンクの増資によって純有利子負債が削減でき、今後の成長に向けた投資が加速できるという位置づけだ。「攻めのための設備投資をして、本当の経営復活を狙う」(同)考えだ。

ARPUは順調に増加を続けている

その結果、売上高は順調に伸びており、直近までの今年の売上高の増減率も他社と同等で、Sprintだけなら1位になる、という

増資によって純有利子負債を削減し、設備投資をさらに強化する

また、Sprintの経営陣との会合を重ね、両社のこれまでの経営において、お互いに学べるところを学びつつあるという。これによって、携帯事業でのEBITDAマージンが16%にまで下がったSprintを復活させることを目指す。ボーダフォン・ジャパン買収時にはソフトバンクも27%だったが、12年の直近までの累計ではこれが50%に達し、Verizonの48%、NTTドコモの44%、AT&Tの42%も抜き去り、日米で1位であるとアピール。「このノウハウをSprintに伝授したい」と話す。

ソフトバンクのノウハウによって、EBITDAマージンを反転させる

ソフトバンクは、ウィルコム、イー・アクセスを傘下に収めることでEBITDAは1兆2,000億円と国内2位に位置しているが、今回のSprint買収でこれが1.6兆円となり、1.5兆円のドコモを逆転することになる。

Sprint買収という「飛び道具」(孫社長)によって、EBITDAでドコモを抜くことになる

売上高も2兆3,000億円規模(2012年上半期)になり、中国チャイナモバイル、米Verizonに続く世界第3位の携帯事業者にのし上がる。EBITDAの1兆2,000億円(同期)は世界第5位の規模だ。さらに、ソフトバンク単体で見ると、2005年度から2011年度のEBITDA平均成長率は47%になり急進する途上国の携帯市場と比較しても大きな成長率となり、「世界で一番伸びている」と孫社長は強調する。

売上高、EBITDAの世界順位

成長率では1位

孫社長は、こうした高成長を背景に、日米での事業を強化し、「世界最先端のLTEネットワーク、世界共通のスマートフォン、世界市場でもっとも革新的なサービス」によって、「世界最先端のモバイルブロードバンド」を提供していきたい考えだ。