成田からベトナム・ホーチミンまで直行便で約6時間。このぐらいならエコノミークラス利用でもいいか、とつい考えがちだが、旅は機内に足を踏み入れた瞬間から始まっているのだ。せっかくなら、最初からベトナム気分を楽しみたい。そんな人に加え、現地でフルに動きたいという人にもビジネスクラスがオススメ。今回はベトナム航空のビジネスクラスの様子をレポートしたい。
成田発VN301便。10時のフライトだ。今回は特別にコックピットも撮影許可が出た。精悍な機長がフレンドリーにポーズをとってくれ、気分がさらに盛り上がる。座席エリアでは、真紅のアオザイ姿のCAも笑顔で迎えてくれた。クルー全体がリラックスムードを与えてくれる。
ウェルカムドリンクはオレンジジュースをオーダー。CAがグラスに注いでくれたのはフレッシュスクイーズに近いもので、少し乾燥した機内では、甘さと酸味が濃いオレンジ果汁が喉を心地よく流れていく。
ハス形の食器に美しく盛られた料理
さて、いよいよランチタイムが始まる。テーブルにベトナム航空のロゴが入ったクリーム色のクロスが敷かれた。3種のアミューズブーシェ(食前酒といただく軽いおつまみ)の皿が置かれる。小エビの入ったトマトのファルシ、テリーヌ、牛肉のパイ包みは、とても凝ったつくりで小さなお菓子のようにも見える。
洋食メニューを選び、サーブされたのは前菜で、鴨のスモーク、タコのマリネ、シーフードと野菜のムース。味や食感のコントラストがあっておいしく、特にムースはパンにのせてもよく合う。加えて、まろやかな味わいのトマトスープとサラダ。彩りも盛り付けもとても美しい。まさに目も舌も楽しめるメニューだ。ワインを飲む人だったら、さらにゆったりとした時間を過ごすことができるだろう。
ところで、既に気付かれている人もいるだろうが、おのおのの皿が柔らかな花の形をしている。これはベトナム高級陶器メーカーであるミンロンのオリジナルで、ベトナム国花であるハスの花をかたどっている。なんとコーヒーカップや小さなソルト&ペッパーまでも花の形。こんな心遣いも、センスのいい小物や雑貨が多いベトナムならでは。
さて、メインディッシュは魚料理の「アラスカ産ロックフィッシュの海老ソース・タイライス添え」を選んだ。ロックフィッシュとは日本でいうクエやハタの総称で、ふんわり煮込んだ白身魚に、見た目よりパンチの効いたスパイシーなソースがかかっている。一方の肉料理は「鶏の赤ワイン煮、パセリマッシュポテト添え」だった。和食は、前菜と胡麻豆腐の山葵餡がけ、蟹酢、香の物、味噌汁。メインの肉料理は「アスパラガスの牛肉巻き」。魚料理は「鰻の蒲焼き」だった。