新しいLumia 920は手袋をしたままでも操作が可能であり、また置くだけで本体の充電もできる。そしてWindows 8 PCとの連携もスムースになっているなど、使い勝手は今までのWindows Phone 7.5より大きく向上している。製品としての完成度が高まったことで、ここフィンランドでもユーザー離れを食い止めることができそうだが、そのためには製品数を増やすことが必要だ。Windows Phoneそのものを盛り上げるためには他メーカーからも多くの製品が登場することも必要だろう。

家電店のNokiaコーナー。土日はまだかなりの客が立ち寄ってくるとのこと

街中ではNokiaのスマートフォンを2台持ちする人もまだまだいる

あの時と変わらない「ノキア駅」

今回のフィンランド訪問では、前回雪の中訪れた「ノキア駅」の再訪も計画に入れておいた。ヘルシンキから高速鉄道で2時間、Nokiaの研究所のあるタンペレで車に乗り換え、Nokiaの発祥の地「ノキア」の町へと向かった。2年半前は真冬のため外は真っ白な雪しか見えなかったが、冬の足音がきこえてきた9月のフィンランド。まだまだ山肌には緑が多く見える。

ヘルシンキからタンペレまでは高速列車

タンペレから車でノキアをめざす

まだまだ緑が多い9月のフィンランド

時折見える空は晴天だ

久しぶりの訪問となったノキア駅は、雪で覆われていないもののその佇まいは当時と全く変わっていなかった。1日の列車本数は数本、列車の来ない時間は田舎のローカル駅だ。北欧らしいのどかな光景を眺めていると、まるで時が止まったような錯覚を覚えてしまう。だがクレジットカード対応の切符の自動販売機が新設されていたり、駅名表示版も新しくなっているなどきちんとメンテはされているようだ。

2年半前と何も変わっていないノキア駅

「Nokia」の看板は色が若干くすんでいるようだ

柱の駅名表示は新しくなっている。夜になると光るのだろう

自動販売機も新設されていた

一見すると変わらぬ佇まいのノキア駅だったが、利用者が使いやすいように少しずつだが改善が進められていた。そのゆっくりした動きは今のNokiaの動きそのものかもしれない。だが今やNokiaを取り囲む動きはNokiaだけでコントロールできるものではなく、Microsoftという強力なパートナーを得たことで、これからは競合他社以上に改革の速度を速めていかねばならないだろう。Nokiaにはまだ復活の力は残っているが、残された時間はそう長くは無い。そう感じられたフィンランド訪問だった。