スマートパスポートを構成する2つの要素
続いてはKDDIのキーノートスピーチを見ていこう。
取締役執行役員専務・高橋誠氏はまず、講演タイトルにもなっている「KDDIが目指す3M戦略と今後の展望」の3Mについて、「マルチユース、マルチネットワーク、マルチデバイス」の略だと説明。さらにこの3M戦略の核となる考え方として、「スマートパスポート構想」を打ち出している。
スマートパスポートとは、「オープンで制約のない世界へのパスポート」という意味。さらに高橋氏は、スマートパスポートを実現するための具体策として、「auスマートバリュー」と「auスマートパス」の2点を挙げる。
「auスマートバリュー」とは、auと全国のFTTH/ケーブルテレビ各社が提携して行うサービスのことだ(「auのスマホを契約する際、一緒にケーブルテレビを契約すると料金がお得になりますよ、というアレ)。現在参加している企業はFTTHが5社、ケーブルテレビが98社178局。全国世帯カバー率は約80%とのことで、auスマートバリューは提携事業者の売上増に大きく貢献していると高橋氏は胸を張る。また、auスマートバリュー自体の契約者数も今年3月の開始以来200万人を突破したという。
この大規模な提携を可能にしたのは、auが1年から1年半もの時間をかけてじっくりと各社との交渉を進めたからだと高橋氏は語り、今後はこういった「いろんな方と協力して新たなバリューを生み出していくマーケティングが重要になってくる」と断言する。その上で高橋氏は、「KDDIは全部自分でやるのではなく、提携戦略でやってきた会社であり、今回その一つの形。これが3M戦略の根幹にある考え方」とKDDIとしての方針を明確にした。
また、月額390円でアプリ取り放題やストレージ、クーポンといったサービスを提供する「auスマートパス」については、こちらもやはり3月の提供以来契約者数が200万人を突破したことを発表。「今やスマートフォンには欠かせないサービスになった」と手応えを語っている。
auでは他にも月額590円で映画見放題の「ビデオパス」や月額315円で音楽聴き放題の「うたパス」を実施しており、「コンテンツを楽しむ自由」をマルチデバイスで提供していく方針だという。そんな「楽しむ自由」をさらに広げるため、auが提供するのが、「SmartTV Box」だ。