10月4日、最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN」にて、NTTドコモ代表取締役副社長・岩崎文夫氏が「新たな成長に向けたドコモの取り組み」と題したキーノートスピーチを、またKDDI代表取締役執行役員専務・高橋誠氏が「KDDIが目指す3M戦略と今後の展望」と題したキーノートスピーチをそれぞれ行い、両社における今後の展望が語られた。通信業界でしのぎを削る両社。だが、それぞれが見ている方向はまったく異なっており、対照的な内容の講演となった。ここでは講演内容をリポートしよう。

NTTドコモの通信の高速化の狙い

まずはNTTドコモ・岩崎副社長による講演から紹介しよう。

NTTドコモ代表取締役副社長・岩崎文夫氏

岩崎氏によると、世界の携帯電話市場は拡大の一途をたどっており、普及率は2010年の79%から2015年には107%にまで増加すると見られているという。そんな中、NTTドコモは加入者数で世界21位、売上高で4位という位置にあり、売上に対するデータ通信売上比率は59.1%と世界各国を圧倒。岩崎氏は、スマートフォンの普及に伴ってデータ通信売上比率はさらに増加していくと予想し、「通信事業者としては、スマートフォンを便利に使っていただき、データ通信の比率を上げていきたい」と述べている。

日本のデータ通信売上比率は諸外国をはるかに上回っている

加えて、岩崎氏が今後重視していくと明言するのが、LTEを使用した高速データ通信「Xi(クロッシィ)」だ。事実、NTTドコモは「Xi」対応機種を2012年春から夏秋にかけて4倍に増強、さらにWi-Fiテザリングには発売した機種すべてを対応させるなど、データ通信の高速化に取り組んでいる。

こうした背景には、NTTドコモが今年4月から展開する「NOTTV(ノッティーヴィー)」を普及させる狙いがある。NOTTVは、月額420円でオリジナルドラマやスポーツ中継、バラエティ番組などが高画質・高音質で楽しめる日本初のスマホ向け放送サービス。開始5カ月で契約者数は18万人にとどまっているが、2013年度には放送エリアを全都道府県へ拡大し、さらなるユーザー獲得を目指していく。また、災害報道をスマホから入手したり、スポーツ中継を見ながらTwitterで盛り上がるといった使い方もできるようになるという。

最近ではらくらくスマホも注目された商品だ

そんなNOTTVの普及のためには、Xiの推進が急務。岩崎氏によれば、Xi契約数は9月時点で600万を突破しており、現在も月に100万契約ペースで増加しているという。さらに今年度末には1,000万契約突破を目指し、人口カバー率70%を超える規模でLTEネットワークを展開していくとのことだ。

具体的には、2012年度末に新幹線全駅をXiエリア化、さらに同時期までに75Mbpsエリアを約4,000局まで拡大し、全国政令指定都市および県庁所在地へと展開する見込みである。また、国内最速となる112.5Mbpsエリアを他社に先駆けて2012年の第4クォーターのなるべく早い時期から提供していきたいとも述べ、112.5Mbpsエリアに関しては電波の割り当ての関係上、下記の都市から順にスタートするとした。

盛岡市/仙台市/郡山市/新潟市/富山市/金沢市/小松市/福井市/松山市/徳島市/高松市/高知市/那覇市

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