――息子がいる父親を演じてみての感想を聞かせて下さい。
松坂「いやー、男の子3人は疲れますね(笑)。これが実際に自分の息子だったら違うのかも知れませんが、子どもというのは元気だなと。全員男というのは大変ですよ。うちは姉と妹ですけどよくここまで育てたなって。改めて親ってすごいなと思いました」
――ご自身の父親に影響を受けている部分や思い出はありますか?
松坂「うちの母親に怒られてる姿しかパッと出てこない。尻に敷かれてるというか、そういう思い出が多いです。でも、今僕がこういう仕事をしているので『映画を観ました。素晴らしい作品だった。お前はすべての人に感謝をしろ』というメールを送ってくれるんです。仕事のキッカケを作ってくれた人に感謝をしないといけないという初心に帰れる言葉を投げかけてくれるので、父としての言葉を最近になって感じてます」
――理想の父親像や家族像はありますか?
松坂「最終的に何だかんだで親父みたいになってしまうのかなって。姉は結婚して子どももいるんですが、明るくて物事をハッキリ言う母親みたいな性格で。まだ姉が実家にいる時に『こんな男とは結婚したくない』って親父の事を言ってたくせに、実際に結婚した相手は親父と同じく『うんうん、そうだね』って言う感じの方なんですよ。ある種バランスが取れた夫婦なんですが、両親と全く同じじゃないか、これはマズいぞと(笑)。多分、将来僕も行き着くところ、そういう家庭を築くんじゃないかなと思います」
――NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の信郎役など、近年様々な役柄を演じてますが、役者としての今の心境をお聞かせください。
松坂「作品ごとに監督もキャストも役柄も違うので、そこの色というものがあるわけですよね。しかも、その色に染まるというのは決して自分だけでは染まらないわけですよ。監督が引き出してくれたり、相対する役者さんと一緒にやることによって引き出される部分もある。そうやって、今までにない感情だなとか違った自分と出会うのは楽しいし、役者として面白い瞬間。後は何より、一つの現場で色んなプロフェッショナルな方がいるので、僕らも俳優部として"同じ方向を向いて自分が持っているものを出す"という意味では面白味を感じています」
『尾根のかなたに~父と息子の日航機墜落事故~』
WOWOWのドラマWスペシャル『尾根のかなたに~父と息子の日航機墜落事故~』は、1985年8月12日に起きた日航機墜落事故で親を失った3つの家族の息子たちを中心に、事故から27年間を描いた門田隆将の同名ノンフィクション(小学館文庫刊)が原作のヒューマンフィクションドラマ。歯科医だった父親の遺志を継いで自分の使命を全うする峰岸薫(伊勢谷友介)、家族の死後、孤独に囚われる小倉光太郎(松坂桃李)、父親が最期に遺した遺書の意味を考え続ける上杉弘樹(玉山鉄二)の3人の息子たちが、亡くなった父への想いを抱えながらやがて自身が父親になる時を迎える――というストーリーで、キャストは伊勢谷、松坂、玉山のほか、萩原聖人、貫地谷しほり、余貴美子、広末涼子、緒形直人、石田ゆり子、国村隼が出演。ドラマは、前編が10月7日22:00~、後編が10月14日22:00~WOWOWプライムで放送される。